血と夜と月と、
[禁門の変](1/2)









季節は少し戻り、
文久3年の葉月。

会津藩、薩摩藩を中心とした
公武合体派が
長州を主とする尊皇攘夷派を
京の都から追放した。
これを八月十八日の政変という。




それによりいじけた
長州勢……。


容保公のばかっ!
殺しちゃうんだからねっ!
なめてんじゃないわよ。


みたいな流れで長州藩が挙兵。



もちろん新撰組は
それを食い止めるため、
薩摩藩などと参戦することと
なる。





「…明日までには戦の準備を整えろ。いいな」





副長は働き詰めで
目の下の隈が日に日に
濃くなっていく。

それがなんとも痛ましかった。



恋仲はというと…
風邪が復活したのか?

よくわからないが
最近嫌な咳をし出した。




「ごほっ…ごほっこほ…」



「総司…大丈夫か?」




なんだか顔色もすぐれないし
本人は隠しているが
体が怠いようだ。



「…また…風邪かな。すぐ治るよ。大丈夫だって」



そう言ってくしゃくしゃと
子ども扱いするかのように
私の髪を撫で、
無理矢理笑顔を作る総司に
不安を覚えた。




「…甘味ばかり食べていないで飯をしっかり食え」


「え〜。じゃあ蒼ちゃんが食べさせてね」


「はげろ」





やはり、
気のせいなようだ。



あと100年は生きそうだ。










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