血と夜と月と、
[池田屋事件](1/9)










季節は過ぎ、



ーー元治元年6月5日。




蒸し暑い梅雨の季節が
やってきて、


嫌な湿気に包まれていた。




「蒼さん」



稽古の途中、

珍しく山崎に呼ばれた。


余程重要な話なのだろう。

深妙な面持ちだった。




「長州の奴等が不穏な動きを見せています」


「それで?」


「先程、沖田組長が枡屋にて古高俊太郎を捕縛したとの報告が入りました」


「何?」




古高といえば
近々捕縛するために

監察の山崎や島田さんが
動いていたが…。


やっと、か…。



「それで何か吐いたか?」

「いえ、まだ何も…。副長が問い詰めていますが」




副長も大変だろう。


副長の拷問は新撰組で
総司と並ぶ程すごいらしい。


総司はまぁ…。

うん、黙っておこう。




「そうか…。稽古が終わり次第副長の様子を見てくる。ありがとう山崎」

「いえ、」






この拷問は長くなりそうだ。







ーーーーーー
ーーーーーー



予想通り、

古高は何もはかなかった。



稽古が終わり、
副長のもとへ…

と思っていたのだが、
向かう途中で副長に
会ったのだ。




「お疲れさまです」


「あぁ」




拷問はされる方はもちろんだが

する方だって疲れるのだ。





「とりあえずもう一踏ん張りしてみるけどよ」



縁側に座りため息をつく。




「私もお手伝い致します」


「ありがとな。助かる…」





柱に寄りかかり目を閉じた
副長はとても綺麗だった。


端正な顔立ち。


役者のようだと言われ
女にもてる。


その理由は十分すぎる程
わかった。


もちろん、顔だけではない。


優しさこそ、副長の全てだ。




「土方さん」


「…ん…あぁ…総司か…」


「その様子だとはかなかった…みたいですね」



にやっと嫌な笑みを浮かべる
沖田を見て土方はため息をつく。




「お前の出番だ、総司」



「…土方さん、手抜きました?」



「んなわけあるか。俺の拷問はすごいとか言ったのお前だろうが」


「そうでしたっけ?…ま、いってきますね」




自分の出番ができたからか
嬉しそうに総司は
拷問に向かった。



…恐ろしい奴め。





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カナキです!

レビュー頂きました!




ジェシちゃん様!
ありがとうございます☆〜(ゝ。∂)


今回は猫耳蒼ちゃん制服ばーじょん
ですっ


これからもよろしくお願いします!


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