太陽の君

時を超えて(12/13)








「なんで私がお前と一緒にどこか行かないといけないんだよ。こっちは旅行中だぞ?変人め、さっさと消えろ。」



「え、怖い怖い!この子すぐ怒る!!って痛い!!!」


藤堂が陽の迫力に慄いていると、その言葉の最中に飛び出てきたのはその当人の拳だった。素早い動きで、その拳は藤堂の頭頂部へとヒットする。




「ギャーギャーと喚くな、怪しい上にやかましい奴め。」




「このー。よくも殴ったな!俺は別に怪しくないでしょうが!」



「反論するな、この馬鹿たれ!!昔の格好して、ちょっと着いてこいなんて変質者以外の何者でもないわ!!」



殴られて逆上する藤堂に陽は苛立ちをぶつける。その美しい顔には青筋が立っている。



しかし、藤堂も自分は間違ったことを言っていないために目の前の陽の勢いが凄まじくても反論は止まらない。


「俺は昔の格好なんてしてないよ!これが普通でしょ!?あんたの方がおかしい格好してるよ!」



「まだ言うか、お前みたいな格好をしたやつはな、今から100年以上も前ならたくさんいたけどな、今はそんな着る機会なんぞないだろうが!」



その言葉に藤堂は黙りこくった。そして聞き間違いではないかと思った。




目の前の人物は一体誰だ?




異人という考えのもと話を進めていたのだが、よくよく陽を観察すると顔立ちは自分たち日本人と変わりない。



それに何より、一切のなまりもなく自分たちに通じる日本語を話している。



藤堂は産まれてからこのかた異人とは話に聞いたことはあるが実際にその目で見たことはなかった。



よって目の前にいる陽を異人と絶対的に判断することはできなかった。












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