足許照らす君の歌
極彩色なそれから2(1/3)
意地っ張り女の子。
自分だって楓のこと好きなくせに人のこと後押ししちゃって。
つくづくバカだなぁと思う。
「…楓と千春、上手くいったみたい」
「そーなの?」
スタジオで休憩していると、
しらばっくれて関心もそこそこなフリをして返事する俺。
それと、
どこか切なそうに笑う彼女。
だけど、これでいいんだとどこか吹っ切れた表情の彼女。
藤沢アリサ。
ギターボーカルをしていて、度々ステージでも一緒に演ることが増えたから、付き合いはもうそこそこ長い。
「私のお陰でね」
切なそうな表情は一変して、
いつもの勝気な笑顔を見せてピースした。
「いやいや。俺も後押ししたからな?俺こそ起爆剤だからね?」
「君人くんがいつそんなことしたの?私以上に千春の背中押せたわけ?」
「押せたよー。羽鳥がウカウカしてるから千春ちゃん抱き締めて連れ去った。いい男」
「っ、は!?」
自分的には千春ちゃんのためにやった…とは言え、言葉にすると俺が酷い奴みたいに聞こえる。
実際、千春ちゃんの気持ちも考えないで行動したばっかりに「酷い奴認定」されても仕方ないかもしれないから、豪語するべきところじゃなかったわ。
しくった〜…。
目を見開くアリサが殺気立ってる。
「抱き締め…どうかしてたわけ?」
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