足許照らす君の歌
8.その場足踏みの撫子色(1/22)
《side アリサ》
「楓、今日泊まってい「ダメ」
「言い終わる前にそんな返事する?!」
あーあ。いっつもこうだ。
羽鳥楓。
2年くらい前にライブハウスで彼と出会って音楽に触れてみれば、沸々と感化されて。
憧れと一緒に恋なんかも芽生えちゃったりして。
結局私は“音楽仲間のアリサ”としか思われてないの。
恋だと自覚したところで相手にされない。
私の音楽以外の内面なんかこれっぽっちも興味が無い。
…音楽仲間から、いつか、
軽率に触れても嫌がられないくらい心を許してもらえる日が来るんじゃ無いか、なんて淡い期待もある。
ずっとずっと、夢見てる。
でも、
最近よく見かける女の子。
“美咲千春”
縁があってストリートピアノの広場にも顔を出し始めたから覚えた。
どうやら楓のファンらしい。
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