足許照らす君の歌
2.夜空を濡らす透明な涙(1/17)
「チハ〜」
「梢」
「おはよー!来週提出のレポート、順調?」
「うーん、気合いでなんとかするよ」
ははは、と苦笑い。
梢は高校からの友達で、今も同じ大学に通う、もはや親友と呼べる域。
私はいつも明るく元気な性格に助けられている。
「チハ、何か良いことでもあった?」
「良いことって…?」
「光り輝いてるなぁと思って。幸せなことだったら分けてね」
「幸せ…」
確かに、不安に襲われている時とは違って穏やかな気持ちだ。それが梢にも伝わっているくらいってことかな。
だとしたらその原因はー…
「あ、もしかして、真山さん?うまく行ってたりして?」
真山さん、か。
そうじゃないんだけどな。
「うん、まぁ、ねぇ」
パッとしない返事ひとつこぼしてしまった。
うまく言っていないのは私の気持ちだけ。嘘はついていない。
土曜にだって、送ってもらえるんだから。
普通にして、普通に、もう別れてもらった方がお互いのためにいい。
彼が悪者なんじゃない。
私が離れればいいだけ。
少し嘘をついたみたいになっちゃったけど、またちゃんと真山さんにお別れが言えたら、梢にも話を聞いてもらうことにしよう。
「私、頑張るね。」
「おう?頑張れ」
ハッキリ言うんだ。
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