歪んだ愛で
・もし...(1/3)



「ねぇ、人を殺してみたいと思ったことある?」



紫苑が煙草に火をつけながら尋ねる。



気だるそうな話し方は情事の後だからではなくそういう話し方なのだ。




普段、他愛ない話をする時も数少ない言い合いの時もあまり感情を表に出すやつではなかった。




それは七年前知り合った時からで、その時まだ十代だった紫苑を変に大人びて見せた。


『は?』


少しの沈黙の間、暁人は最近、遊んだ女のことを思い出していた。


その女を殺したいと思ったからではなくその事が紫苑にバレて自分を殺したい位、怒っていると嫌味を言われていると思ったのだ。



紫苑とは付き合ってるわけじゃない。

だから女遊びがバレたところで文句を言われる筋合いはない。



そもそも暁人の恋愛対象は女だ。現に紫苑以外の男を抱いたこともなければ抱きたいと思ったこともない。




ただ、女達の様にヒステリーを起こしたり泣き喚いたりしない分、後ろめたい気分にさせられるのだ。



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