☆[Who…](1/15)
独特の浮遊感が抑まり、つぶっていた目を開けると目の前は生い茂っていた雑草の森ではなく、さっそうと広がる草原だった。
大きなお屋敷まである。
「わぁ…。」
何かの絵本に登場しそうな場所に、私は思わず声をあげた。
…いや、まぁこの世界がまさに物語だけどね。
「そういえばアリスは…?」
キョロキョロと辺りを見回し、アリスを探す。
「スー…スー…。」
足元で規則正しい寝息が聞こえた。
「うぉっ!?」
私の足元で、アリスが気持ちよさそうに丸くなって寝ていた。
あんな短時間で何で寝てんだよっ!!!
そのツッコミは心にしまい、アリスを揺さぶって起こした。
「アリスぅー?私も大きくなったよー?」
「スー…スー…。」
呼びかけてみたが、まだ寝ている。
どんだけ爆睡してんだろう…
ノンレムか!?
ノンレム睡眠なのか!?
「ほらっ、アリス!!起きてっ!!」
今度はさっきよりも、強めに揺さぶった。
「うぅーん…。」
あっ!!!起きそう。
「アリスぅうーーーっへぶ!!!」
もう少しで起こせると思った私は、速さMAXでアリスを揺さぶった。
その結果、アリスに思い切りアッパーカットを繰り出された。
「いってぇえぇっ!!!!」
絶叫しながら後ろに倒れ込んだ。
「ふわぁー…、ん?どうしたの、カヨ。」
私の絶叫でアリスの目が覚めたらしい。
「…うぅん。何でもないよ。」
私は激痛が走る顎をさすりながら、涙ながらに答えた。
しゃくれたら恨んでやる。
心の中でそう誓い、ガバッと起き上がった。
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