◆生死の境目 (1/1)
キラが向かった場所に人影が…
誰…!?
そう思った瞬間に…
私は安全なルートを忘れて,キラの方に向かって少しだけ歩いてルートをはずれてしまったんだ。
遥 「エリ!!!出たらダメ!!!」
遥さんがそう言った時にはもう遅かった…
[カチッ…]
エリ「はっ……。」
何かを踏み込んだ音が聞こえる…
明らかに草道とは違う地面のかたさ…
汗が額から地面へとスローモーションの様に落ちていく。
ドクッ…ドクッ…ドクッ…ドクッ…
胸の音がありえないぐらい速くなって,私の体を硬直させる。
エリ「はぁ……はぁ……はぁ……ど……どうしよう……私……。」
恐怖が私の足から伝達していきならがら全身を震えさす。
遥 「健太!!!先に皆を連れて行って!!!爆風で近くにいたら死んじゃうから!!!」
健太「あ,あぁ…わかった!!!」
遥さんが他の人達を次の扉へと誘導していく。
香里奈「マジで……やっちゃったよ。」
高梨「エリさん……。」
舞 「そんな…嘘……。」
健太「もう…こうなったら仕方ない。」
皆が私から離れて次の扉の場所まで行き,私を見てる…
そして,遥さん1人だけが私にゆっくりと近づいてきたんだ…
エリ「わ…わ……私……。」
私は遥さんを震えながら見つめ…
遥さんも私を見つめる…
そして…
遥さんは悲しい表情でゆっくりと首を横に振った。
そんな…
遥 「エリ,ごめんなさい…。もうあなたを助けることができない…。その足を離したら地雷が爆発する。他の人達を犠牲には出来ないから…。本当に……ごめんなさい…。許して…。」
そう言うと遥さんも離れていくんだ…
私…
もう死ぬの…
エリ「はぁ……はぁ……はぁ……。」
右手に持ったLDの生存率が……
【生存率・
】
0%で点滅してる。
そんな…
こんなのやだよ!!!
死にたくない…
お願い…
誰か助けて!!!
死と隣り合わせの恐怖で体が強く震えながら涙がたくさん流れていく…
【私…もう終わりなんだ……】
そう思った時…
あのキラが走っていった場所から,一人の男の人が歩いてくるのが見えたんだ。
地雷なんて気にせずに…
キラを抱きかかえてままで…
何も恐れずに…
ゆっくりと私の方に向かってくる。
健太「おい!!あいつ誰だ!!!そこには地雷があるぞ!!!危ないからこっちに来るんじゃない!!!」
そんな声にも耳をかさずに,その人はどんどんと進んでいき…近づく距離が縮まっていく中で,私の目にその人の顔がはっきりと見えて…
エリ「た……助けて……。」
彼が歩く道は地雷が爆発する事なく,静かに私のそばにやってきたんだ。
あの時…
私を救ってくれた…
琉夏「また会うなんて俺も運がない…。こいつを持ってて…。」
そう言うと震えた私にキラを手渡した。
エリ「琉夏……なんでここに……危ないよ……。私…」
琉夏「知ってる…。」
琉夏に会えた事で,涙が止まらなくなる…
琉夏「もう泣かなくていい…。」
遥 「危ないわよ!!!その女の子から早く離れて!!!死にたいの!!!」
エリ「そう…だよ……。」
私の足には地雷が…
琉夏「なら,俺も一緒に死んでやる…。」
エリ「琉夏……。」
琉夏はそう私に言うと背中に背負った荷物を下ろし,何かを取り出してる…。
琉夏「そのくらいの気持ちがなきゃ…人なんて救えない。あんたはここで死ぬ運命じゃない。俺にはわかるから…きっと大丈夫。」
そんなの無理だよ…
琉夏は私の足元で工具の様なものを使って何かをしてる。
琉夏「現地の人に習っててよかった。旧式だから…あんたも運がいい。この起爆装置と伸管を外せば爆発はしない。」
何かを切る音が聞こえる。
琉夏「足を放してみて…。」
エリ「で,でも……。」
琉夏「大丈夫……俺を信じて。」
琉夏が私に優しく言ってくれた。
それが力になったかはわからないけど,私はゆっくりと足を放したんだ。
……
………
…………
……………
………………
琉夏「ボンッ!!!」
エリ「きゃっ!!!」
琉夏の声に驚いた私…でも地雷は爆発してない。
琉夏「あんた…いやエリだったよな…。エリは生きてるよ(笑)」
私は死ぬ境地から救われて…
それまでの感情が一気に溢れだし…
大声で泣きながら琉夏に抱きついた。
琉夏「もう大丈夫…。安全だよ。」
号泣する私の頭をゆっくりと優しい手で撫でてくれた…
その手の温もりを感じ…
私は生きてる喜びが身に染みて…
エリ「こ,怖かった……怖かったよ……。」
私は琉夏に抱きついたまま離れなかった。
健太「う…嘘だろ…。何が起きたんだ…。」
遥 「いったい…あの人は誰なの…?」
舞 「………。」
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