◆2人と2人 (1/1)
エリと謎めいた少年の琉夏。そして…
エリ「やっぱりって…ゴホッ…ゴホッ…。」
喉が痛い…
野宿なんてしたことなかったから,もしかして風邪をひいたのかな。
寒気がする…
琉夏「………ほら。」
彼は背中の荷物から水が入ったペットボトルを取り出し,私に差し出した。
エリ「え……いいの?」
琉夏「ぬるいけど…飲めよ。」
エリ「ありがとう…。」
最初は怖い人なのかなって思ったけど,結構優しい人なのかも。
喉の渇きを強く感じていた私はペットボトルを受け取り,一気に水を飲み干していく…
ゴク…
ゴク…
ゴク…
ゴク…
こんなに水が美味しいなんて思った事ないよ…
生き返った様に感じる。
エリ「ゴメンね…全部飲んじゃっ……た。」
あ…
あれ…
目がおかしい……
ぼやけて…
私…
どうしちゃ………
琉夏「お…おいっ!!どうし………
…………………
……………………………
……………………………
………………
…………………
……… ………………………
【大丈夫なのか…?】
【多分…うまくいくはずです…。彼女が気づくはずがないですから…。生きて帰ってこれる保証さえない環境です…】
【それだと困る…必ず生きてたどり着く事を願うしかないな。】
………………………………
……………………
…………………………
…………………………………………………
真っ暗な世界…
私,目隠しをされてる…
口にも何かを貼られてる…
これは飛行機の音!?
私は何処に連れていかれるの…?
怖いよ……
…………………………………………………
目をゆっくりと開けると…
暗闇の中で小さな火が私の目に映ってる。
エリ「ここは…。」
琉夏「………。」
彼が火を消さない様にして木の棒を動かしながら,たき火をしていた。
もう夜になったんだ。
私,どうしちゃったのかな…
水を飲んで…
それから…
そんな事を考えながら寝ていた私が起き上がろうとすると…
琉夏「まだ寝てろって…。熱は下がったけど今夜は安静にしてろ…。」
彼が私にそう言った。
私,やっぱり熱があったんだ…
エリ「あ…ありがと。」
琉夏「なんで俺がこんな事…。最低な日だよ。」
静かな空気が2人の間を流れる中で,私はたき火の光を浴びながら考える。
彼は何でここにいるんだろ…
私は彼の姿を見ながらそう思った…。昨日から私はこの場所にいるけど,彼はここの環境に慣れてるみたいだし…水も持っていた。
きっと,彼はここが何処なのか知ってるのかもしれない…
エリ「ねぇ…名前……聞いてなかったよね。」
琉夏「………。」
言いたくないのかな…
エリ「私は,エリって…」
琉夏「さっき聞いた…。」
何でそんなにツンケンしてるの?
エリ「じゃあ…あなたの名前を教えて…。嫌だったら別にいいけど…」
しばらく黙り込んだ後,彼が小さく口を開いた。
琉夏「俺は…琉夏。」
エリ「そっか…わかった。琉夏くん,助けてくれてありがと。きっと優しい人なんだね(笑)」
琉夏「俺は別に……。助けたつもりはない…。それに琉夏でいい。くんなんて気持ち悪いし…。」
彼がいる事で昨日までの恐怖をあまり感じない。一人じゃない事がこんなにも幸せだったなんて…
エリ「本当に良かった…。一人じゃなくて……」
安心したせいか…急に悲しくなって私の目から涙がたくさん流れていく。やっと現実を理解したかの様に声をあげながら私は泣いたんだ…
琉夏「……マジかよ。」
私…
これからどうなるのかな…
不安でいっぱいだよ。
私は涙を目に浮かべながら眠りについた…
―――――――――――――――――――
香里奈「ねぇー!!!高梨!!!どうするの?無駄に頭が良いわけじゃないんでしょ?」
高梨「ぼ…僕に言われても…。頭の良さなんてこんな状況で関係ないし…」
コイツどんだけ頼りないの!?
香里奈「あぁー!!!馬鹿!!!もうイライラする!!!いつまで待っても助けなんて来ないじゃない!!!こんな所で私は死にたくないんだけど!!!」
なんで知らないジャングルなんかに!!!
高梨「ぼ,僕だってそうだよ…。香里奈ちゃんだってどうしたらいいのかわからないでしょ?」
香里奈「は!?香里奈?」
高梨「さんでした…。ゴメンなさい…。」
香里奈「なんでだいたい高梨なんかと一緒なの!?意味わかんないし…。」
もう!!誰か助けてよ!!!
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