◆冷たい視線 (1/1)
孤独だったエリは,一人の男の人と出会う。
エリ「えっ……!?」
人の声…
人がいる…
私は急いで周りを見渡した。
でも,誰もいない…
エリ「何処にいるの!!!」
琉夏「ここだよ…上。」
私は声のする方に視線を上げると…木の上に誰かが座っているのが見えたんだ…
琉夏「あんた…誰だよ…。何でこんな所にいるんだ?しかも,日本人だろ?」
エリ「良かった…。人がいて…。」
私以外に人がいた事で安堵感が広がっていく。
そして…
彼は勢いよく木から飛び降りると,私の顔をジッと見て言った…
琉夏「一人だよな……?」
エリ「う…うん。」
私を見る彼は帽子を深くかぶってて…あんまり顔は見えないけど,私と同じぐらいの歳に見える。背中には大きな荷物をからって…
とにかく…
この人に言わなきゃ…
エリ「私…エリって言うの。何でかわからないけど…目が覚めたらこんな場所に連れてこられてて…。一人ぼっちだったから…ずっと怖くて…寂しくて……だから,本当に良かった。」
涙が溢れるほど嬉しかった…
助からないまま孤独の中で,死ぬんじゃないかと不安で…
琉夏「そうか……クソッ。じゃあな…頑張れよ。」
彼がそう吐き捨てる様に言うと,突然…私から離れる様に歩き出したんだ。
あまりにもあっさりした態度に,驚きを隠せない私…
エリ「ちょ…ちょっと待って!!」
琉夏「あぁ…いい!いい!!俺は一人の方がいいから…。」
そんな…
何で…
何で行っちゃうの!?
私は自然に体が動き,彼のもとへと走っていった。
エリ「ちょっと待ってよ!!!せっかく一人じゃないってわかったのに…。なんで…。女の子が困ってんだよ!!!」
私がそういうと彼は歩くのを止めた。
琉夏「女だからって関係ねぇーよ。俺についてくんな…。」
エリ「でも…誰も頼る人もいないし…。こんな所にずっといたら…」
琉夏「死ぬだろうな…。もし,そうなれば…それはあんたの運命だ。俺の運命じゃない。わかっただろ?これ以上ついてくるなら…ぶっ殺す!!!」
エリ「そんな言い方……」
彼は私に振り返り,睨みつけながら言ったんだ。
それは凄く冷たい目をしていた…
…………………………………………………
私は志望高に進学すると,亜希も私を追うように同じ高校を選んだ。また同じ高校に通えるなんて正直嬉しかったし…何もかも支配されてた小学校の頃とは違い,また楽しい学校生活が送れると思っていた。
でも…入学して半年が経とうとした頃に,その友情がもろくも崩れる事になる。
それはいとも簡単に…
夕方…
教室で帰る準備をする私に亜希が声をかけてくる。
亜希「エリ…。なんでメールしても返事をくれないし,電話しても出てくれないの?」
エリ「ううん…。別に……。」
きっと気づいてないんだよね…
亜希の今の彼氏は,私の好きな人だったって事も…
あんなにそばにいて…親友のはずなのに…私のアイズに何も気づいてなかったなんて…。それで本当に親友なの…?
エリ「………。」
私は苛立ちを隠せないまま,鞄に教科書を雑に入れ…走り去る様にして教室を出ていった…
亜希「エリ!!!」
どうしてかわからない…
簡単な事なのかもしれないけど,壊れやすいのも知ってる。
彼が私に気があったなんて思えないし…
でも,見てるだけでドキドキして…
片想いだけでも十分幸せだったのに,それを親友の亜希が壊した事で友情さえ消えた様に思えてしまう…
私はその事を言ってなかったから,きっと亜希は何も悪くないのに…
全部…亜希のせいにしてる…
電車から見える薄暗くなった窓を鏡の様にして…情けない自分を映してる。
その私の目は冷たい目をしていた…
…………………………………………………
琉夏「………。」
エリ「はぁ…はぁ…はぁ…。」
私は息を切らしながら彼のあとを,適度な距離をおきながらついていく…
何でって?
そんな事わかんないよ…
でも…
もう一人にはなりたくなかったから。
しかもLDの方角も同じ…
何故か生存率だって上がってる…
【生存率・005%】
きっとこれには何か関係があるのかな…
そんな時…
琉夏「はぁ……。」
ため息をついた後,彼が私の方を向いた。
動揺する私…
エリ「別に私はついていってないよ…。だって…私も同じ方向に行くから…。」
そして…
彼が急に怒った表情で私に近づいてきたんだ…
エリ「ご…ごめんなさい!!!」
私,殺される…!?
突然の事に目を閉じた私は…ゆっくりと目を開けると…
琉夏「あんた…何番だよ…。」
そう言った彼は私を1度見て,おもむろに私の半袖の腕を捲る…
エリ「ちょっ…ちょっと何するの!?」
琉夏「028……。」
彼が捲った事で,私の肩近くの二の腕に番号が書かれてあるのに気づく。
何でこんな所に番号なんか…
琉夏「やっぱりな…。」
何がやっぱりなの…?
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