ESCAPE-N[028]…[EYE]ZU-3…


◆冷たい視線 (1/1)

孤独だったエリは,一人の男の人と出会う。




エリ「えっ……!?」



人の声…



人がいる…



私は急いで周りを見渡した。



でも,誰もいない…



エリ「何処にいるの!!!」



琉夏「ここだよ…上。」



私は声のする方に視線を上げると…木の上に誰かが座っているのが見えたんだ…



琉夏「あんた…誰だよ…。何でこんな所にいるんだ?しかも,日本人だろ?」



エリ「良かった…。人がいて…。」



私以外に人がいた事で安堵感が広がっていく。


そして…


彼は勢いよく木から飛び降りると,私の顔をジッと見て言った…



琉夏「一人だよな……?」



エリ「う…うん。」



私を見る彼は帽子を深くかぶってて…あんまり顔は見えないけど,私と同じぐらいの歳に見える。背中には大きな荷物をからって…


とにかく…


この人に言わなきゃ…



エリ「私…エリって言うの。何でかわからないけど…目が覚めたらこんな場所に連れてこられてて…。一人ぼっちだったから…ずっと怖くて…寂しくて……だから,本当に良かった。」



涙が溢れるほど嬉しかった…



助からないまま孤独の中で,死ぬんじゃないかと不安で…



琉夏「そうか……クソッ。じゃあな…頑張れよ。」



彼がそう吐き捨てる様に言うと,突然…私から離れる様に歩き出したんだ。


あまりにもあっさりした態度に,驚きを隠せない私…



エリ「ちょ…ちょっと待って!!」



琉夏「あぁ…いい!いい!!俺は一人の方がいいから…。」



そんな…


何で…


何で行っちゃうの!?


私は自然に体が動き,彼のもとへと走っていった。



エリ「ちょっと待ってよ!!!せっかく一人じゃないってわかったのに…。なんで…。女の子が困ってんだよ!!!」



私がそういうと彼は歩くのを止めた。



琉夏「女だからって関係ねぇーよ。俺についてくんな…。」



エリ「でも…誰も頼る人もいないし…。こんな所にずっといたら…」



琉夏「死ぬだろうな…。もし,そうなれば…それはあんたの運命だ。俺の運命じゃない。わかっただろ?これ以上ついてくるなら…ぶっ殺す!!!」



エリ「そんな言い方……」



彼は私に振り返り,睨みつけながら言ったんだ。


それは凄く冷たい目をしていた…





…………………………………………………





私は志望高に進学すると,亜希も私を追うように同じ高校を選んだ。また同じ高校に通えるなんて正直嬉しかったし…何もかも支配されてた小学校の頃とは違い,また楽しい学校生活が送れると思っていた。



でも…入学して半年が経とうとした頃に,その友情がもろくも崩れる事になる。



それはいとも簡単に…






夕方…


教室で帰る準備をする私に亜希が声をかけてくる。



亜希「エリ…。なんでメールしても返事をくれないし,電話しても出てくれないの?」


エリ「ううん…。別に……。」



きっと気づいてないんだよね…


亜希の今の彼氏は,私の好きな人だったって事も…


あんなにそばにいて…親友のはずなのに…私のアイズに何も気づいてなかったなんて…。それで本当に親友なの…?



エリ「………。」



私は苛立ちを隠せないまま,鞄に教科書を雑に入れ…走り去る様にして教室を出ていった…



亜希「エリ!!!」



どうしてかわからない…


簡単な事なのかもしれないけど,壊れやすいのも知ってる。


彼が私に気があったなんて思えないし…


でも,見てるだけでドキドキして…


片想いだけでも十分幸せだったのに,それを親友の亜希が壊した事で友情さえ消えた様に思えてしまう…


私はその事を言ってなかったから,きっと亜希は何も悪くないのに…


全部…亜希のせいにしてる…





電車から見える薄暗くなった窓を鏡の様にして…情けない自分を映してる。



その私の目は冷たい目をしていた…





…………………………………………………





琉夏「………。」


エリ「はぁ…はぁ…はぁ…。」



私は息を切らしながら彼のあとを,適度な距離をおきながらついていく…


何でって?


そんな事わかんないよ…


でも…


もう一人にはなりたくなかったから。



しかもLDの方角も同じ…



何故か生存率だって上がってる…





【生存率・005%】





きっとこれには何か関係があるのかな…



そんな時…



琉夏「はぁ……。」



ため息をついた後,彼が私の方を向いた。


動揺する私…



エリ「別に私はついていってないよ…。だって…私も同じ方向に行くから…。」



そして…


彼が急に怒った表情で私に近づいてきたんだ…



エリ「ご…ごめんなさい!!!」



私,殺される…!?



突然の事に目を閉じた私は…ゆっくりと目を開けると…



琉夏「あんた…何番だよ…。」



そう言った彼は私を1度見て,おもむろに私の半袖の腕を捲る…



エリ「ちょっ…ちょっと何するの!?」


琉夏「028……。」



彼が捲った事で,私の肩近くの二の腕に番号が書かれてあるのに気づく。


何でこんな所に番号なんか…



琉夏「やっぱりな…。」



何がやっぱりなの…?


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