◆パーセンテージ (1/1)
エリの置かれた状況をパーセンテージが示していく。
立ち上がった私の目の前に広がる現実…
それが変わらない事に,もう夢だと願う気持ちもなくなっていた。
そして,私は選択を迫られていたんだ…
[ここで助けを待つか…]
[LDのメッセージを信じるか…]
きっと私がいなくなって両親が捜索願いを警察に出してると思うけど…
でも…ここが日本の様にも思えない。
見たことのない草花や虫…
この湿り気がある空気…
きっと,何処か別の国に私は連れてこられたのかもしれない。
そう思うと私はここで助けを求める事を選択するのは間違いの様な気がした。
エリ「きっと…助けなんて来ない…。」
そして…
私は異様な世界の空間で…怖い気持ちを抑えながら一歩だけ前に進んだ。
すると…
手に持っていたLDが反応を示す。
【生存率・001%】
エリ「数字が増えてる…」
生存率が上がった事に今の状況で救いなんて感じない。何か救いにつながるんじゃないかとLDのボタンを押してもメッセージと生存率しか出ない…。
でも,私がきっと助かるには…
このLDを信じるしかないのかな…
空腹感が私に襲う中で,ゆっくりと私はLDのメッセージに従って…北へと歩いていく…。
密林なんて歩く事すら経験がなかった私は,枝や草に足をとられながらもゆっくりと前に進んでいった。
こんな現実をまだ理解するには,時間がかかる様に…私は有り得ない状況を一歩一歩噛み締めながら歩いていく。
エリ「はぁ…はぁ…はぁ…。」
しばらく歩いても永遠と続く森や林…
私を照らし続ける真夏の様な太陽と青空…
暑さと喉の渇きで少しだけ歩いても疲れてしまう体…
エリ「もう嫌……。」
歩く度に弱音が出てくる…
そんな時…
木に何か掘った跡を見つけた。
エリ「これは……」
【1】
1……
数字…?
ここに跡があるって事は…
きっと近くに人がいるはず。
エリ「誰かぁぁーー!!!誰かいますかぁぁぁーー!?」
私の叫び声がエコーの様に広がる…
でも返事なんて聞こえない。
それでも…きっと人がいるんだ。
もう私には恐怖や不安がいっぱいで,それに体力も限界に近かった事で考えてる暇もなかった。
だから,人がいる事を信じて…また限界の体を動かし前に進んでいく。
…………………………………………………
私のお昼ご飯は,いつも決まって学校と体育館をつなぐ渡り廊下。
そして仲良しの亜希と一緒に食べるのが日課になっていた。
亜希「エリのお弁当,おいしそうだね!お母さんが作ってくれるの?」
エリ「うん。まぁ…共働きで忙しいみたいだけど,お弁当はちゃんと作ってくれるんだよね(笑)」
そういう亜希は,いつもコンビニのパンばかり買って食べていた。それを私は深く聞く事もなかったし…だからといって何か特別な考えもなかった。
ただ,亜希のお母さんは忙しいんだろうな…
そんな感情だけ。
亜希「ねぇ…エリ。」
エリ「何…?」
突然,亜希が渡り廊下から見える空を見ながら私に呟いた…
亜希「現実から逃げたい時ってある…?」
エリ「えっ……。」
急に言われた言葉に驚きを隠せない。
冗談を言うようなタイプじゃないし,亜希が言った表情も真剣な顔だったから…返事に困ってしまう。
エリ「もう!!亜希,何言ってんの(笑)急に変な事言うからビックリしたよ!!」
焦って返事をしたせいで箸を落とす私…
亜希「この世界も誰かが造った世界なのかな…。」
ミステリアスすぎて…
亜希は私の理解を超えていたんだ。
…………………………………………………
歩くスピードも少しずつ遅くなってる…
やっぱり限界だよ。
そう思い,ゆっくりとしゃがみ込んだ瞬間に…
男の人の声が聞こえた…。
「あんた…誰だよ……。」
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