七色物語
○[藍の章](10/10)
藍の勇者〈ウルフ〉の章

リザードマン……!

いや、ちがう。

ウルフが知っている
リザードマンは、
目の色が赤く
なかったはずだ……。


その目の奥に
ウルフは“殺意”を見た。

こいつは、危険だ。

とりあえず今は、
身を守るために
こいつを倒さなくては…!


シャッと音をたてて、
剣を抜くと同時に
怪物に飛びかかった。

上からなんとか攻撃したが、
それほどの致命傷は
負わせていない。



ヤツは、サッと弓を構え、
矢を引き絞った。

「?!」

ど、どこに
そんな武器が……!

ビュンっと
右肩スレスレのところを
矢がかすめた。

服が破れて血がにじんだが、
ウルフは再び攻撃にうつった。


……っ、だめだ。
相手が巨体すぎる…!

しかもなんだ!
このふざけた色の
かたいウロコは!

…さすが、とかげだなッ。

「俺も負けないぜッ」

シャッ!

当たることは当たるが
やはり普通の“傷”程度。

内部からダメージを
与えられれば……!


ウルフの動きが
だんだんにぶくなってきた。

さっきより両者とも
傷が増え、息も上がっている。


あと何発か刃を入れることが
できれば……!


矢がピタリと、
向けられた。

かっ……、
体が動かない…!


右太ももに痛みが走る、


血が流れる。

「うああッ」

いっ、痛い……っ。


「グゥオオオオ!」


相手は勝利の
雄叫びをあげた。

くそ……っ。
逃げられ……た…。



ウルフはばったりと
そこに倒れ込んだ。



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