君にだけ。


 ▼はじめてのきもち<渚> (1/2)








文化祭委員のしごとは
やっぱり結構忙しくて
毎日放課後残っていた。

「相沢〜こっち。」

資料を持って走っていると
手招きしている本多くんの姿。


「あー疲れた。」

ドカッと座ってる私は
どこかの中年親父みたい。

「ねみー。」

なんて言いながら
本多くんは机に座る。

「あ、アリ。」

私の座る椅子の前の
机の上を歩くアリ。

「なんでこんなとこに
  アリがいるんだろ〜。」

おかしくなって
笑っていたら
本多くんが寄ってきた。

「アリ?」

「うん、アリ!」

「あ、ほんとだ。」

ちょこちょこ歩く
アリが可愛くて笑った。

「虫、平気なの?」

いきなりの質問に
少し顔をあげる。

本多くんの顔は
予想していたのより
もっと近くにあって。

「わ、私は
  普通の女子みたいに
  可愛くないし…。」

私らしくない
みっともない台詞。

やだ、かっこわる…。

「相沢…。」

もう一度
本多くんの声が聞こえて
彼のことを見た。






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し お り
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