reverberation 〜残響〜
[関係](1/4)
俺は学習室に入って、同輩たちを待っていた。

「渡辺先輩が呼びにいかなくても良いんですか?遅いので、俺が呼んできますか?」

「いや、いいよ。もうすぐ来るはずだから」

渡辺先輩はそう言った。
教室に二人きりでいるため、どこか気まずさが生じつつも、口下手な俺は話しかけることも大して出来ず、教室にある時計や教訓を見ていた。

「「きゃー!!」」

突如グラウンドから聞こえた悲鳴に驚く。
普段は気にならないようなことだが、気まずさから俺は窓に近づいて、グラウンドを見下ろす。
そこにはサッカー部員の二人がぶつかったらしく座っているところだった。
先程の悲鳴はマネージャーが発したものらしい。
転倒した二人は大したことはなく「ごめん」というような仕草をしたあと、すぐに練習を再開した。
それを見送った俺はもう少し窓のそばにいることにする。
さすがに遅すぎるだろ…。心のなかで悪態をつく。
そのとき、背後に人気を感じ、振り向いた。



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