春風吹く東海

16.呪われた宝石(1/12)


15.呪われた宝石.


その日のうちに海賊船クロートー号は海峡を進み、夕刻、船はレートよりも内陸に位置するラッシュ港へと到着していた。


「わー!すごーい!」

船を降りるとそこには高い建物が立ち並ぶ市街地が広がっていた。
中世ヨーロッパを思わせるような高い建物。整備された歩道。道行く人の服装もレートで見掛けたものよりも高価そうなものを着ている人が多い。なんだか都会に来た感じがした。

そんな街中を通り辿り着いた場所は。


「やっぱりここか

やって来たのは市街地から少し外れた場所にある酒場だった。
初めて見る異世界の都会の街並みに一体どこへ行くのかと内心わくわくしていたというのに

確かにやって来た店は市街地周辺というだけあってレートの港町にあった酒場よりは多少は綺麗な感じがある。だが、やはり酒場は酒場。
多少綺麗で呑んだくれの輩が少ない事以外はさして変わったところはない。


なんでこういつもいつも酒場としか縁がないんだ私は。未成年なのに

なんだかとても裏切られたような気分になった。
やるせない気持ちを抑え、仕方がないのでとりあえずラックが頼んでくれたオレンジジュースを啜る。







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