バトル…ロワイアル the Last Program
4[最初の犠牲者](1/14)
「………………………マヂですか………」



あたしの前方に揺らめく黒い影。



不気味に蠢くその姿。


その巨体をもって大地を蹂躙す、圧倒的な存在感。絶対的な力。



「……………ク……ク…マ………」



クマさんだ。


森のクマさん。もとい村のクマさん。

村熊さん


じゃなくて!!!


かなり大きい!3メートルくらいありそうな………


よりにもよってその巨体と見つめ合ってしまった。 て、何で村の街道を堂々と歩いてんのよ!?
いつか会うかもとは思ってたけど、こんな早くに……!


既に頭はパニック状態、パンク寸前。


「あわわ、と、とりあえず……死んだ振り……」


パタッ


瞬間、クマさんは何事もなかったかのようにズンズン歩をあたしの方へ進める。。


………ダメじゃん!!

すぐさま起き上がり、全力で駆け出した。


しかし………


ドッドッドッドッドッドッドッド!!!


大地を揺るがせ、その巨体とは似つかぬ猛スピード!!

「は、速い……!?」


確か、どこかで聞いた事がある。 クマは、最大時速数十キロメートルのスピードで走り、パンチ力は何トンもあるとか………



「か、勝てる訳ないでしょう!!」


辺りに目をやるが、近くに隠れられる場所は無い…… 武器もナイフしかない。


ドッドッドッドッドッドッドッド!


そうしてる間にも、グングン距離が縮められていく。



かくなる上は………


ザザザザッ!!


あたしは急ブレーキをかけ、その巨体と向き合い対峙する。


「勝負よ!!」


腹をくくった。

そうよ、どこぞの国ではヒグマの顔を殴らないと一人前の男って認められない国があるらしいし……!


あたしはいちおー女だけどねι


クマさんが突撃してくる。 文字通り飢えた野獣だ。


こっちは一撃もらったら終わりだ。 慎重に、慎重に………


「せいっ!!」

今まさに、掴みかかろうと両手を上げた時だった。

可能な限り身を屈め、巨体の腹を蹴りあげる!

だが、結果は火を見るより明らか、飛んで火に入る夏の虫。


全く怯む様子はなく、そのまま覆い被さってきた!!

「…くっ」

何とか転がりそれを避ける。


ドドドドドドッ!

すぐさま、横腹に殴る、蹴る、突く等の攻撃を織りまぜ、一瞬の内に叩き込む!


……やっぱり、全く効いてないみたいだ。
再びこちらに体を向け、牙を剥いてにじりよってくる。


「なら………これで………どう!?」


今度は顔の真ん中に付いてある黒い点…… 鼻を、思い切り殴った。


「ガーーーーッ!!」


「………き、効いた!!」

クマは大きくのけ反り、悶えるようにしてウロウロし始めた。


「グルルルルル…ガアアアアア!!!」





耳をつんざく猛りの咆哮……


あれ………怒らせちゃったかな……


マズイ……かなりマズイ。 クマは怒ると痛みを感じなくなって、より獰猛になるって聞いた覚えもある……


「グアアアァァァ!!!!」

ビリビリ……

大気を震撼させてひしりに吠え猛る。


…………そこでやっと、あたしの中に恐怖心が芽生える。足がガクガク震えてきた。



……やっぱり逃げよう! 人間じゃ、大自然の力に敵わない……!!

そう思い、駆け出そうとした………その時だった。

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