小旅行
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[小旅行](1/1)

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桜がひらひらと舞う、水色の空の下。
種はふわふわ、飛んでいく。
生きるための居場所を、探すために。

ふわふわと、種は飛んでいく。
頭にくっついた綿は、行く先を目指して、気球のようにふわふわと。
種は、どこへ飛んで行くのだろう?

「ティロリン」

可愛い、音がした。

「ごめんね、たんぽぽ。
 ちょっと動画に撮ってみたくなってさ、勝手に撮っちゃったけど、許してね」

人の声が、種に話しかけた。

「たんぽぽは、どこに飛んでいくんだろうね。
 可愛い黄色のたんぽぽ、咲かしてね」

人の声は、遠ざかる。

種は、風に吹かれて飛んで行く。
ふわふわ、ふわふわ、桜舞い散る水色の空の下。

そして、種は一冊の本の上に着地した。
桜色のブックカバーの、大きな本。

(ここでは、芽を出せないよ)

種は、困った。

さっきのような、ふわりとした風が吹いてくれればいいのに。
そう、思った。

「カサ、カサ・・・」

草の上を走る、音がする。

「ハァ、ハァ。
 あっ、たんぽぽ、ごめんね。
 そこじゃ、芽が出せないね」

白くて大きな手が、種を優しくつまんで、ふわりと息を吹きかけて、それから手を離した。

種は、再び飛び始める。

「もう、本の上に落ちちゃ駄目だよ。
 それから、あたしもごめんね」

さっきの、草の上を走る音が遠ざかる。

種は、大きな風に吹かれ、一気に高く、飛び上がった。
そしてまた、ふわふわ、ふわふわ、飛び始める。
種は、どこへ飛んで行くのだろう?

種は、茶色い土の上に、着地した。
そして、先っぽを土に入れた。

END


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/3 n

ユしおり

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