ティアスカルフェイス
[第9話「変貌」](1/11)
ネメシスの事件から3日後。解毒剤が間に合い、涙子の体調も回復の兆しを見せていた頃だった。容体に異変が起きた。早朝、お見舞いに逢が訪れた時のことである。
「涙子ー?着替え持ってきたよ…っ!?」
病室に入った途端、逢の心臓が跳ね上がった。視界が白黒になり、涙子がベッドの前に佇んでいた。頭をだらりと下げているせいか髪で顔が見えない。
「る、涙子…?」
逢は一歩下がった。涙子本人も知らないこの力は人間を影に引きずり込んで消してしまう可能性があるのを思い出したからだ。
「ケシ…テヤル…」
涙子が逢へ向けて右手を伸ばした途端、まるで底なし沼にはまったかのように逢は引きずりこまれていく。
「涙子っ!!」
逢が必死に叫ぶと、涙子は頭を抱えて苦しみ始めたのだ。
「う……」
そして涙子が小さく呻くと、ふらりと倒れてしまい世界の色が戻った。身体も影からはじき出される。
「涙子!?」
急いで抱きかかえると、ゆっくりと目を覚ました。
「あら?逢?」
「覚えてないの?えっ?涙子、その目…」
驚き焦る逢を不思議そうに見開く涙子の目は、両目とも青く染まっていたのだった。
「目…?どうかしたかしら?」
数秒後、病室に絶叫が響いた。
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