ティアスカルフェイス
[第8話「ネメシス」](1/9)
デートの翌日の夜、つまりは月曜日。その日は大雨だった。そんな中、逢は涙子を背負って泥だらけに汚れながら裏道を逃げ回っていた。気を失った涙子の背中には矢が突き刺さっており、唇が青ざめてきている。
《逢様!次の自動販売機を左へ!そこに下水道への入り口があります!そこから逃げてくださいませ!》
通信の爺やは焦った声で逃げ道を案内している。逢は工事用通路を駆け下り、下水道へ逃げた。
「着いた!あとは通信切って!逆探知されたらヤバイ!涙子!涙子しっかりして!」
『あ…うぐ……』
10分前に事件は起きた。
街で麻薬取引をしているホストクラブがあり、そこを襲撃し終わった時のことである。すでに血の海になった店内に一人の男が外から入ってきた。真っ黒なフードに、顔は焼けただれている。そのフード、特有の異様な雰囲気からノスフェラトゥだと涙子も逢も気づいた。
「こんばんは。ティアスカルフェイス、アウルアイ。星がよく見えて死ぬにはいい夜ですよ?」
『ノスフェラトゥね。最近黙ってたから死んだのかと思ったわ。てか外は大雨よ。つまんない冗談ね』
「一人で私達と戦おうなんていい度胸してるね」
「元気なお嬢さん方だ。私はネメシス(凶星)。早速ですが死んでください!」
『危ない!』
フードの中から突然弓矢が飛び出してきたのだ。矢は逢へ向かって飛び、涙子はとっさに庇って背中に矢を受けてしまった。
『んぐっ!?』
「くっ!?」
涙子を抱きかかえた体制で持っていたセンチメーターをネメシスへ向けて連射した。弾丸は数発当たったようで、ネメシスは膝をついく。
そのまま逢はガラス窓から飛び出し、走って逃げたのである。
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