ティアスカルフェイス
[第5話「部屋の片隅の埃の如く」](1/28)

次の日、やはり学校も街も多少は混乱を見せていた。転校希望者が多く現れた。先日の爆弾の件で違う街へ引っ越そうという人達が現れることは簡単に予想できていた。30人いた涙子のクラスも、19人が引っ越し予定となってしまった。そのため臨時休学にせざるを得ない状況であった。

街は数日もすると、物好きと甘い物好きが多い神道はいつもの様な賑わいが少しずつ戻ろうとしている。観光客はほとんどいないが、学生やサラリーマンがいるのは変わらない。

夏が近く感じるちょっと暑い昼ごろ、私は休学を楽しむため街のオープンカフェで一護とケーキを食べていた。一護は厳しいイメージだが大の甘党である。

「しかしあんな大きな事件があったのに、街はあまり変わらないな。ん、チョコレートの甘味が控えめでダークな味わい。これはいい新作だな。」

「でしょ?私の舌に間違いはないわ。あら、あれは多分今回のヒロインね。」

私達のいるテーブルの横を、神道では見かけない女子高生がうろうろと一人歩いていた。制服も神道の物ではない。そして何より目を引いた理由は、彼女はとても美しい女の子だった。黒い髪は日に染まりキラキラと輝いており、顔つきはモデルをやっていると言われたら納得できるものだ。
見とれていると、彼女が話しかけてきた。

「あの突然すみません。如月動物遺伝子研究所はどこにあるかご存知でしょうか?」

「あぁ、それならここから少し離れた海沿いにあるわ。分かり辛いから案内してあげるわ」

如月動物遺伝子研究所は20年ほど前からある研究所。あまり大きくない小さい研究所だったはず。

お会計を払おうとすると、一護が何も言わずに私の分も払ってくれた。こういう不器用だけど優しいところが好きね。

「優しいのね。そういうところ好きよ?」

「茶化すのはやめろ、早く彼女を送ってあげよう。」











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