LIFE
[慣れ](1/10)
彩はいつも通り訓練して、終わったのは22時だった。部屋に戻ってベットに寝転びながら電話番号の紙を眺める。
こんな時間に電話するのは流石に悪い気がする…
彩は悩みつつ、1回電話してみる事にした。
「もしもし」
電話越しに俊の声がした。
「…あっ」
彩はどもってしまう。
「ん?誰?」
「…。」
「彩?」
「う、ん」
「びっくりした。誰かと思ったよ。訓練お疲れ様、今誰かといるの?」
「…1人」
「おいでよ」
電話の向こうで俊と瑠衣が話している声がした。
「明日の制服とか宿題とか準備持っておいでねーってさ!じゃあ待ってるから」
俊は彩の返事を聞かず、一方的に電話を切ってしまった。彩は電話を切り、呆気に取られながらも
急いでお風呂に入り、明日の制服とか準備持って28階のこの前行った部屋に行く。
彩は躊躇しながらピンポンを押す。
いつもクールな拓磨が出た。
「おかえり。入って」
「…。」
彩は無言で中に入る。
彩はリビングに入り、ドラマを見ている悠と俊の隣に座る。なんとなくこの位置が気に入っているようだった。
「彩ちゃん。課題してないでしょ?今回結構難しいから、早めにした方が良いと思う」
「こっちきて。」
彩は拓磨と瑠衣が座っているダイニングテーブルの方へ行く。
拓磨の隣に座った。
瑠衣は彩のために温かいココアを作り、彩の前に出す。
「…ありがとう。」
彩は教科書を開き、課題に取り組む。課題は数学の問題集2ページ分だった。
彩は途中までは調子良く解いていたが、途中からわからなくなってしまった。彩は助けを求めるように瑠衣を見る。
「ここは、この式使う。わかる?」
「んー…」
「えっとね…あ、ペン借りるよ。ここは、これに代入。ここまで簡単だね?そこからこの式は分解して…はい、解いてみて?」
彩は納得したようですらすらと解く。
「合ってるよ。次も同じように解いてみて」
また、わからなくなって視線を送る。
「これ…」
「これは「どれどれー?」」
瑠衣が同じように説明しようとすると、悠が彩を後ろから覗き込み、乱入する。
結局、俊も拓磨も彩の課題を覗き込み、結局4人に囲まれながらやる形になった。
「終わった。疲れた〜」
「お前が疲れてどーする」
悠は俊ツッコミを入れる。
「…。」
「もう23時か。彩、今日は何の訓練だったの?」
「…。色々…。」
「彩は何の能力があるの…?」
「…。」
「言いたくない?」
「…」
彩は静かに頷く。
「いつか…彩の口から聞けるの待ってるよ。」
彩は前と同じ部屋で眠りについた。
朝早くから主任に呼ばれる。
「彩、昨日学校どうだった?」
「まぁ…。」
「…。嫌なこととかなかった?俊と悠もいるし大丈夫か。昨日も訓練終わった後一緒に過ごしてたんだね。」
「…うん。」
「今日から瑠衣達と行ける?」
「…。」
彩は頷く。
「良かったよ。今日も気をつけて行ってらっしゃい。任務があるから、早めに帰ってきて。」
彩は無言で部屋から出て、瑠衣達の部屋へ帰る。
「おはよ。どこ行ってたの?朝ごはんできてるよ」
「……主任が。」
彩はみんなと一緒に朝食を取った。
「あ、時間やばい!行くか。」
俊のテレポートで学校に向かった。
ものの数秒で学校へ着く。
「教室行けそう?」
「…うん。」
「また後で。」
校門で俊、悠、彩と瑠衣、拓磨は分かれた。
3人は教室へ行く。
彩は席に着く。昨日、逃げ出した件もあり、気を遣って誰も話しかけてこなかった。
俊と悠は男子グループで話をしている。時々彩の方を見ているから、彩のことを話しているようだった。
「彩ちゃんおはよ〜。」
ゆるふわ系男子の泰斗が彩の隣(悠の席)に腰掛け、彩の方を見つめている。
「…。」
「おはよう、は?」
「…おはよぅ…。」
「うん、おはよ〜。」
なんか視線が痛い…彩はとりあえず携帯を弄って視線を遮る。
「彩ちゃん。なんかしゃべってよ。昨日の手紙にPower5って書いてあったけど…能力は何があるの?」
泰斗ら相変わらずニコニコしながら話しかける。
「…。」
「あっそっか!僕から言わないと。Power6で、メインは風が使えるんだ〜。あとは、透視も。こっちは少しだけね。彩ちゃんは…?」
「泰斗、どいて。」
「悠、ごめんごめん。じゃあ、彩ちゃん、また後でね〜」
良いタイミングで悠が戻ってきて、彩は救われた気分になる。
「彩ちゃん、大丈夫だった?」
「…うん。」
「泰斗も悪気はないから、許してやって。」
チャイムが鳴り、先生が入ってきて悠と彩の会話は強制的に終わった。
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