LIFE
[家族](1/2)
「お兄ちゃん私、特殊超能力者だよ」

「もちろん知ってるよ。彩にはこれくらい楽勝か?」

うん。」

「バイト先は洋風の建物のmilkってお店。わかる?」

うん。」

「行ける?」
彩が時計を確認したら5分前になってた。

うん。」
彩は福武に事情を話しレストを解放してもらう。

「気を付けていくのよ。」
彩と兄は文字通り家を飛び出た。

「お兄ちゃん掴まって
彩は自分の肩に兄の手を持っていく。
空を飛ぶ時は慣れていないとバランス取りにくい。初めての人は気持ち悪くなるかもしれないから、支えてあげる。

彩は兄のためにいつもより低めの位置を飛ぶ。

「彩、凄いよ!鳥になった気分!」

。」

「周りに彩以外で超能力者は全然いないから新鮮だよ。」

「そうなの?」

「うん。それはレストってやつだろ?授業で習った。」

うん。これも、それにこれも

「可愛いデザインだな。」
彩と兄は雑談をしながら向かっていた。

1分後彩は兄のバイト先milkの真上に着いた。

「ここ?」

「もう着いたのか?!流石だなお客さんいなかったら中で下ろしてくれ」

「ん
彩はテレポーター特有の空間把握で物の場所とか人の位置を確認する。ケーキの並ぶショーウィンドウの向こう側に1人、奥に1人いるのが見えたが、お客さんは居なさそうだ。

店内にテレポートした。

店内では彩の見立て通り、女の子がショーウィンドウ越しに立っていた。

「達也?!」
いきなり現れた彩と兄に店員の女の子は驚いている。

「美優、内緒だぞ。彩、ありがとな。ちょっと待ってて!」
そう言い残すと兄は裏へ行った。

女性2人はその場に呆然と立ち尽くす。

「あ、あの
この沈黙に耐えられず先に口を開いたのは店員の女の子、美優だった。

妹です。」

「やっぱり!達也と同じ雰囲気ですね!私、達也の彼女の美優です。あっ言って良かったのかな?よろしくね。」

可愛らしい笑顔の美優は彩に微笑む。
彩はうんともすんとも言わずじーっと見ていた。

「あ、美優もう紹介したのか?」

「うん。達也がいつも話す妹の彩ちゃんでしょ?すぐわかったよ」

「今のはテレポートってやつ?」

「そうだよな、彩?」

うん。」
達也と美優は超能力に疎いようで、珍しいものが見れた、と2人して興奮していた。彩は横目にその様子を見ている。

お店の裏からまた別の男の人が出てきた。
コックコートを着ていた。このケーキ屋さんのシェフだろう。

「あれ?お客さん?」

「店長!俺の妹っす」

「へー。噂通りの美人さんだね。」

「そんなことないですよ。俺からしたら可愛いですけどね」

「達也、ちゃんとお兄ちゃんしてるの?妹さん、ケーキ食べる?」

「してますよ。」
「ありがとうございます

「そっかー。美優、適当に詰めてあげて」

「はーい!」

「今は一緒には住んでないの?」

「そうですね。こいつは東京で1人暮らしです。」

「そうなんだ。あー、なるほど。能力者?」
店長は彩のレストを一瞬見て言う。

「そうです。それで東京に

「そうなんだ。所属はどこ?」

「政府管轄機関です。」

「それは良い。東京駅も近いし、達也もすぐ会いに行けるね。」
店長は少しだけ詳しいようだった。

「テンチョー、あのね、達也ね彩ちゃんのテレポートで来たんだよ!」

「テレポーターなんだ?」

「それもって感じですね。」

「そっか。また名古屋に帰ってきた時はいつでも遊びにおいで。」

彩は静かに頷いた。

「彩ちゃん、お待たせ。人気商品詰めたよ!」

「あ、ありがとう
彩はケーキの箱を持って3人に見送られながら会釈をしてお店を出る。

外に出てからテレポートを使い家に帰った。

「ただいま」

「おかえり。」
父親と母親はテレビを見ながら彩の帰りを待っていた。

「お疲れ様。間に合った?」

「うん、ケーキもらった

「良かったね。ちょうど甘いものが食べたかったわ。コーヒー入れるね」
母親はお湯を沸かすためキッチンへ行く。

「彩はどれにする?お母さんに内緒で選んじゃおっか」
彩と父親は子供のようにコソコソとケーキの箱を覗き込む。

「モンブランかなパパは?」

「パパはガトーショコラ。ママはショートケーキでいいな」
母親はコーヒーを持って戻ってきた。

「あら、2人とも先に決めたのね。」

「ママはショートケーキが好きだろ」

「そうね」

「なぁ彩」
さっきの明るい雰囲気とは一転、いきなり真剣な顔で話し出すお父さん。

なんだか、身構えてしまう。

な、なに?」

「服脱いでみ?」

「なに?恥ずかしいよ」

「いや、違うんだ。その傷増えたな。どうした?任務か?訓練か?」

色々あって

「そうか。家に戻っておいで。」
父親は何かを堪える表情をしている。

!それは出来ないよパパ」

「なんでだ?娘が辛い思いして、傷たくさん付けてき。首や手首足首のも全部レストだろ?そんなたくさんはめられて。彩は政府のモノなのかっ「お父さん。」」
母親は父親の制止に入る。

彩は父親が言いたいことも重々理解してる。
でも彩は、自分のPowerは制御していて欲しいと感じている。

「パパ、ママ。ごめんね。」

こっちに住みながら東京通えばいいんじゃないか?そういう人もたくさんいるだろ?」

「うん。でもあ、向こうで友達出来たし主任もよくしてくれてるし

彩は普段からあんまり口数が多い方ではない。
だけど、必死に話してる姿を見て諦めたようだ。
私は実家で過ごすとなると、家族にまで迷惑がかかることを懸念している。実家に迷惑をかけるわけにはいかない

……わかったよ。いつでも帰って来い、辛い時や悲しい時それに嬉しい時もな。彩ならすぐ来れるだろ」

うん。」

彩の携帯が鳴る。福武からだった。
もうすぐ、迎えにくるって連絡だった。

「もうすぐ主任がくる。」

「あら、もうそんな時間?」

彩と母親と父親の3人は福武を待つ。5分もしないうちに彩の家のチャイムがなった。

「こんばんは。お世話になってます。」
福武はにこやかに挨拶をした。

「福武主任、いつもありがとうございます。」
彩の両親は深々と頭を下げた。

「こちらこそ、いつも心配おかけしてすみません。彩、もう行けるか?」

うん。」

「じゃあ、彩。ちゃんと連絡してね。いってらっしゃい。」

パパ、ママ。また」
福武と彩は上空に待機していたヘリへと彩のテレポートで乗り込んだ。



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