LIFE
[反省](1/1)
医療班はすぐに現場に到着し、彩は担架で運ばれる。

「わ!すごい怪我。背中にガラスがとりあえず、ヘリ出して!機関に向かって!」

「大丈夫?テレポートでガラス出せる?その後は私が止血するから。」
看護師と医者は彩を運びながら話しかける。

「多分
ガラス出す事くらいは出来るまでに神経は回復している様子だ。

ヘリに着き、彩は備え付けのベットに移り止血をするための準備を始める。

「じゃあ、3.2.1で行こうか。良い?あっ、消毒液とガーゼ、包帯、お湯とタオル持って来て。」
医者は看護師に指示を出す。

「準備整いました。」

「そう、ありがと。じゃあ、彩ちゃん行くよ?大丈夫だから。」

3.2.1
医者の合図で彩は自分の体内に埋まっているガラス片をテレポートで出した。

医者は彩がテレポートしたのと、ほぼ同時に止血しながらガーゼに消毒液を染み込ませたもので消毒液してきた。

「痛い!」
消毒液の刺激に彩は思わず顔を顰めた。

「ごめんね、大丈夫。大丈夫だからね」
看護師は優しく声をかける。

「シャツも脱いでくれる?男の人もいるし恥ずかしいかな?」

「大丈夫
彩はいつも通りの無表情に戻っていた。
無言でTシャツを脱に下着姿になる。

「ちょっと!この背中の傷!深く切ってるわ。そこにうつ伏せで寝てくれる?」
看護師はベッドを指差した。

彩は言われるがままに大人しく寝転ぶ。

「痛かったね。痛いけど我慢してね」
医者は手当を続ける。

っう」
彩は相当痛いようで小さな小さな呻き声を上げた。

「痛いね、ごめんね。もう、着くからね、ちゃんと見てもらおうね。」

……。」
ヘリが機関に着くなり、彩は担架に乗り医療室まで運ばれる。

「池田先生!この子お願いします!」

「あら彩ちゃん。ちょっと待って。あぁ酷い怪我。オペ室まで運んで下さい。」
池田先生は彩の主治医の先生だ。
何かあるといつもこの先生が彩の面倒を見ている。

「このくらいもういい
彩はいつもの鉄仮面に戻り、担架から起きあがろうとする。

「何、言っているの?彩ちゃん。だめよ。ダメに決まってる。ちゃんと治療をしないと、治るのが遅くて困るのはあなたよ?」

「でも

「もぅ、本当に。女の子でしょ?顔も傷つけて任務だから仕方ないのかもしれないけど、もっと自分大切にしなさい!わかってる ?」

「はい
彩は池田先生に怒られ少ししゅんとして、また担架に寝転がった。

「怒ってないわ。大丈夫よ。今から手術するからね、安心して寝てなさい。」
彩は麻酔をかけられ意識を飛ばし、池田先生は手術を始めた。

手術はもちろん無事に終わり、彩の背中の傷は縫い合わしてあった。

「彩ちゃん、おはよ」
彩は麻酔が解け目を覚ます。
そこには池田先生がいた。

池田先生」

「ちゃんと縫ったよ。傷跡も時間が経てば目立ちにくくなるから。途中で血が足りなくって私の助手が血を分けてくれたの。彩ちゃんの事知ってるみたいだったわよ?後でお礼言っときなさいね」

彩は心当たりなど全くない。戸惑いながらも池田先生にお礼を言う。

「ありがとうございます

「よし!元気になったかな?大丈夫わけないだろうけど、まだ痛いと思うけど動いていいよ。」


彩は立ち上がった。

いっ」
身体中に痛みが走り少し足が止まる。

「無茶しちゃダメ。自分の身体大切にするのよ?約束してね?」

「はい

「いい子、じゃあ、また診察きてね」
彩は静かに頷いてから医務室を出た。

「彩大丈夫か?」
医務室から出たところには福武が立っていた。
心配そうな顔をして彩を見る。

彩は先程の件もあり、福武を無視して歩く。

「思ったより、怪我酷かったみたいだな。」
福武は彩を追いかけて、支えるように腕を持つ。

別に」
彩には抵抗する力は残っていなかった。

「無理するなよ?機関長が呼んでいる。いけそうか?」


機関長室へ向かう間、彩も福武も終始無言だった。

エレベーターから降り、福武が機関長室の扉をノックする。

「失礼します」

「彩!傷、大丈夫か?1人で無茶させてすまなかった。」機関長は彩に駆け寄り抱きしめる。

。」
彩は困ったように身を捩る。

機関長は彩をソファーに座らせ、自分も隣に座った。

「彩、大丈夫そうで良かったよ。それにしても今回は結構暴れたみたいだな。」

……。」
彩は怒られるのは覚悟していた。
ただ、意識も朦朧としていてあまり記憶にないことを言われるのはちょっと嫌な様子だ。

「電信柱壊したり天候も操ったそうだな。ダメじゃないか。」

……。」

「福武も心配していたぞ。ちゃんと謝ったか?」

...…ごめんなさい

「ちゃんと反省しているな?福武も、この件はもう怒らないでくれ。」

「機関長が言うなら今回は許すが。天候を無闇に操ってはダメだと毎回言っているだろ?次は気を付けて。」

うん」

「じゃあ部屋へ戻ろうか。機関長ありがとうございました。」
彩と福武は彩の部屋へと戻った。

彩は体力的にかなり限界だったようで部屋に着くなりベットに寝転がった。

「彩その、電気使って悪かった。約束したのに。」
福武は申し訳なさそうに彩の寝転がっているベットに腰をかけ、謝る。

福武と彩は無闇に暴れなければ電気を使わないようにするって約束してた。

ただ、今回の件はお互い様。
止めてくれなかったらどうなっていたかわからないのが彩の本音だった。
彩は仕方のないことだと理解していた。

うん」
彩は少しだけ福武に微かな微笑みを返す。
なんだか満足している。

少し安心したように福武も笑顔になった。

「良かった。あ、学校の事だけど。連絡があった。明日、見学に行かせてもらえる事になったんだが。疲れているだろ?やめておくか?」

彩は少し考える。
そしてすぐに結論は出た。

行く。」

「大丈夫なのか?傷も深いし、疲労も溜まっているだろ?」
彩は首を横に振る。

「珍しく積極的だね。じゃあ、明日朝の8時に迎えに来るから。準備しておいて。服装は私服で大丈夫。」

「じゃあ、おやすみ。ゆっくり休めよ」

福武は彩に布団をかけ部屋から出て行った。






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