LIFE
[4人組](1/5)

医務室から部屋へ向かうエレベーターの中

彩は体調が悪そうに、ぐったりと壁にもたれかかっていた。

「あー。疲れた!機関長に報告行って早く飯食おー。」
「先に風呂だな。」
「なんでだよ。腹減った。」
「俊、悠うるさいよ。」
2人ともエレベーターで喧嘩はするな。あの子にも迷惑かけてるだろ。」

エレベーターに騒がしい4人組が乗ってきた。

同じ歳そうに見えるその子たちは賑やかに騒いでいる。

どうしたの?体調悪い?」
そのうちの1人が彩の様子が変なことに気が付いて話しかける。

ぁ」

「大丈夫?顔色も悪いし。緊急かもしれない。透視してもいいかな?」

男は彩に触れようとした。
彩は本能的に後ろへ退く。

人に慣れていない彩にとっては当然の反応だった。俯き、カタカタと震えている。

見ず知らずの人から話しかけられることも触れられそうになることも経験がない。戸惑い、怖がっているようだ。

「悠、やめろ。嫌がってる」
短髪で身長の高い男が、悠と呼ばれた柔らかい印象、くせ毛のふわっとした男を止める。

「ごめんただ体調悪そうだったから
悠と呼ばれたくせ毛の男は素直に彩に謝る。

「別に
悠は彩の様子を見守り、目線に気付いた彩もたじたじと謝る。

エレベーター内は暫く無言の時間が続いた。

"30階です"
機械音のアナウンスが静かな空間に響く。

彩はこの空間から解放されることを安心していた。

「君もここ?」
センター分けの髪型のクールな印象の男は
彩のためにエレベーターの開くボタンを押している。

「あ

エレベーターを降り機関長室に向かう。
彩の隣にはさっきのエレベーターを開けてくれていたセンター分けの男と、短髪の男がいた。

彩は少しスピードを落として歩くが2人も彩のペースに合わせて結果、隣りを歩く形となってしまっている。

「俺は、瑠衣。隣のは拓磨。君は。」
短髪の男性は彩に話しかける。

……彩。」
彩は俯きながら小さな声で答える。

「彩は、今から機関長室に行くのか?」
彩は瑠衣の言葉に小さな反応を示す。

「任務終わり?」

「検査

1人?」

。」
彩は勝手に話を終わらせた。
2人の様子を盗み見て、どうしたらいいか戸惑っているようだ。

瑠衣を筆頭に4人組は機関長室をノックして
入ってく、それに続いて彩も中に入る。

機関長は不在にしていた。

彩は機関長室を素通りし、部屋へと続く階段に向かおうとする。

体調が悪い、一刻も早く眠りにつきたい。

「彩!」
彩はあまりの体調の悪さにふらっとその場に倒れそうになる。

倒れるのを覚悟し、咄嗟に目を閉じる。


彩の周りに4人の男のうちの1人が駆け寄り抱き抱える。

大丈夫?とりあえずソファーにおろすよ。」
くせ毛が特徴の悠は彩を機関長室にある大きめの茶色いソファーに下ろす。

彩が突然倒れたことに対して、然程動揺はしていない。事前に予想していたようだ。

平気」
彩はソファーに寝転がり真っ青な顔をしている。
だが、そのまま起き上がり帰ろうとする。

「平気じゃないから、ね?ちょっと体調だけ透視させて」
悠は彩に許可を取ってから彩に触れそうとする。

ぃや!」
彩は大きな声で否定し、悠の腕を振り払う。

また彩は怖がってしまったようだ。

悠を含めた4人が周りに集まり、そんな彩の様子を見守っている。

ごめん。大丈夫だから、そんなに怯えないで」

悠はソファーの前に視線を合わせるようにしゃがみ彩を見る。

彩は俯き表情が見えない。




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