神様の巫女
[第11章 孤独は安全](1/7)
ーー依頼が完了した次の日のこと。
今日もいつもと同じ身支度をしていつものように登校し、秋花は普段通り過ごす予定だった。
しかしこの日、いつもの日常ではない事が秋花の身にまた1つ起こった。
「お、……おはよう」
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一方、鹿目もまた普段通り、秋花と分かれた後は友人に囲まれ親しまれ優秀な高校生を振る舞う、はずだったのだが……
「朝から何の真似だ? こんな所に連れて来て。また誘拐でも始めたか?」
それは登校してすぐの事
門をくぐった瞬間、鹿目はまるで拉致されるが如くある人物に屋上へと強制連行された。
そこに待っていたのは、両腕を組み如何にも不機嫌そうな衣通姫だった。
「遅い!!
主にじっくり聞きたい事がある!」
鹿目が来るや否や、衣通姫は真っ先にそのように言い放ち人差し指を指した。だが鹿目は、彼女のその手を当然のように振り落とした。
「その前にこちらの質問に早急に答えろ。
何故、当たり前のように島助が制服を着て学校【ここ】にいる?!」
振り落とした衣通姫の真似事か、今度は鹿目が自分をここまで案内してきた男を指差して言った。
「何故って、私の護衛のためじゃが?」
「今更?」
「本来主への目的が達成次第、こんな所は辞めるつもりだったのだが、秋花が通い続けるというのであれば仕方あるまい」
「要は目的が変わったから状況も変わったと」
「そんなことより主は見たのかえ?」
「何を」
「朝の秋花じゃ。珍しくここの女学生と話しておった。
しかもお互い知った風だったぞ!
きーーー!!」
以前、衣通姫に秋花に関して色々と聞かれた時に、鹿目は秋花に関する情報を一通り彼女に説明した。忌み子の事やこの村の風習、秋花の家の事や学校での彼女の立ち位置など、知っている事はほぼ全て。
その時、秋花と繋がりを持つ人間はいないと言ってしまった為か、美穂の存在を知り衣通姫は珍しく感情的だった。
「あの娘は誰じゃ!?」
「俺が知るかよ。学校着いた途端、ここに来たのだから」
「お主それほどまでに私に会いたかったのか?
キッモ!!!
お前私の事好きなの?」
「歯を食いしばれ
そうでない事を大いに証明してやる!」
思ってもいない事で嫌悪の目を向ける衣通姫に我慢の限界が来たのか、鹿目は彼女に向けてダークスマイルで容赦なく拳を掲げた。
「か、鹿目様! 冗談! 姫様の悪ふざけですから!!」
「『悪ふざけ』は立派な重罪だろ?」
「顔怖っ!!!
た、確かに重罪ですよ、死刑ですよ!!
しかしここは抑えて!! お願い!!」
鹿目を必死に抑える島助は、全身に冷や汗が流れている。こんな事で護衛の役割が果たされるとは、彼自身も思ってもいなかった事だろう。
「ハァ〜……
そんなに秋花と仲良さげだったのか?」
「仲良さげ……というより、私が気になったのは呼び名じゃな」
「呼び名?」
「彼女だけは、秋花の事を『忌み子』とは言わなかった」
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