[変わらぬ日常](1/4)
「真咲ちゃん、ちゃんと帰れた?」
「はい、なんとか。」
飲み会があった次の日。
何事もなかったかのように、私は職場に向かっていた。
いや、実際はかなり緊張していたのだけれども。
「葛西主任に何もされなかった?」
「……いえ、何も。」
内心ビクビクしながら、私は答えた。
キスされました、なんて言えるわけがない。
しかもあれは同意の上でのものだったのだから……。
「ならいいけど。葛西主任、相当酔っぱらってたからねぇ。」
「……でしょうね。」
葛西主任はセクハラ親父で有名だけど、きっちり変なところで理性がはたらくようで、
間違っても若い女性――自分でそう言うのもどうかとは思うが――には、手を出したりはしなかったのに。
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