Remain Calm!
悩 み の 春
殆どの学生なんて、眠いとか、面倒臭いとか、今日の○○楽しみだなとか、遅刻するー! とか、一人一人違いはすれど、大体そんなものだと思う。
それが、人生についてだなんて。
「……ふっ」
恥ずかしいというより、変に笑えてくる。全く、どこの詩人だよ。
俺は小さく苦笑いすると、少しだけ足早になって歩いた。
外はからりと晴れていて、優しく吹き抜ける風が心地良い。息をすれば何とも春らしい花の香りがした。
しかも、今日はここ最近では一番の晴天だった。
「いい天気だなー」
呑気にそんな事を言いながら、何気なく視線を左に向けて――
丁度その時、道端に大きな桜の木が一本立っているのが目に入った。春の風物詩にふさわしく、枝の周りが綺麗な桜色に染まっている。
それを見て、自然と足がとまった。
ああ、そうか、もうこんな所まで来てたんだ。
この桜は、高校のすぐ近くにある公園のものだった。
ここの公園は、中だけでなく、周りも桜で囲まれていて、近くの歩道からでも桜を観ることが出来る。俺が通学時に利用するこの道も、その内の一つなのだ。
そこで観た、この桜。公園全体で考えれば数も多く、実は中々評判が良い。薄い桃色に染まり、公園から溢れんばかりに咲き誇る豪華絢爛なその花には、確かに一言では言い表せない程の魅力がある。
聞くところによると、最近テレビ番組の桜の名所ランキングで見事上位にランクインしたらしい。それくらい見応えのある桜なのだ。
だからこの道も、普段は特に何でもない道なのだけれど、春になると急に華やかになる。その変わりように俺も毎年のように驚かされていた。
でも今見たこの桜は、もう公園を通り過ぎる直前の、最後の桜の木のようだった。
つまり、俺は今までそんなに凄い桜並木にすら気が付かなかったという事だ。
それは別に自分の目が悪い訳でも、他の桜が全て散ってしまっていた訳でも無い。
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