Remain Calm!
悩 み の 春



 一つ、思うことがある。


 人生は、何が起こるか分からない。だから面白い――何て言う人がいるけれど、だったらそれは、こう言い換えることも出来るんじゃないか?


 人生は、何も起きないかもしれないから、つまらない。


 別に、前の言葉を否定している訳じゃない。ただ、少なくとも俺が十六年間生きてきて、経験的にしっくり来るのはこちらの方なのだ。

 若干十六にして、俺は最近、こんな哲学的な事ばかり考えるようになっていた。


 それはつまり、どういう事か。


 答えは簡単だ。そんな事を考えてしまうくらい、とにかく俺、進藤新(しんどうあらた)の人生はつまらなかったのだ。


 現在、高校生活で二度目の春が訪れ、俺も新しく高校二年生になった。しかし俺は生まれてこの方、人生を『楽しい』と感じた事は、多分一度もない。

 新学期早々、毎日こんな事ばかり考えているのは、その為なのだ。

 そして今日、四月十二日も例外ではなく、人生について考える事から一日は始まっていたのだが……


 ……何というか、登校中に考える事じゃないよな。普通。


 ふと考え事を始めたのが、高校を目指し、重い足取りで歩いている時だった。

 進藤新、登校中に人生を語る。

 ……いや、変だよな、明らかに。場違いも甚だしい。

 改めて考えると何だか恥ずかしくなって、俺ははっと我に返った。ぼやけていた景色が、一つ一つ鮮明なものへと戻っていく。

 気が付けば、家を出てから随分歩いて来たようだ。高校もすぐ近くだろうか。ずっと考え事に集中していた為、どのくらい時間が経っているのか分からなかった。


 しかし、こんな事考えながら登校してるのも、俺くらいなものなんだろうな。






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