逢魔録
[地獄の定期テスト](1/12)




**5月**


桜は散り、
木々には青々とした葉がつき始めたこの季節。


そうです、やってきますよ。


定期テストが。



「それで、ここの"帰りけり""けり"
この助動詞の意味は過去形だ。
今の部分、しっかり赤線を引いておけよ」


土方さんの受持ち授業は、国語。

今回のテスト範囲は古文だ。


もうね、私大っ嫌いなんだよ。
勉強が。


しかも古文なんて、

〜ず、とか

おいもっと普通に書けよって突っ込みたくなるね。


幕末の頃の記憶のあるとは到底思えない、古典の理解力のなさよ。



「おい、総司。てめぇ話聞いてんのか?」


「聞いてますよ、何かと言えば僕に突っかかる癖やめて下さいよ。
まあ、僕は古典より土方先生の俳句の方が気になりますけど?」


ちょ、それは。

豊玉発句集の話ですよね!?



「バカっ、総司!それは禁句」


平助の言葉ももうすでに時遅し。

みるみる内に土方さんの顔が鬼の形相に変わり果てていく。


あ〜あ。

千鶴がアワアワと隣でどうしよう!と慌てている。


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