ぼくの住処
◎[夕立の後の虹](1/26)
火曜日は何事も無く過ぎていった。
翔悟が学校を休んだ事と、ぼくが授業に追われて過ごした事を除けば。

そしてその翌日。
朝早くからぼくの携帯が着信を知らせて震えた。
発信者は斎『斎木先輩』と表示されていた。
「はいもしもし。」
『おう、はよ。朝早くから悪いな、今電話しても大丈夫だったか?』
斎木先輩の明るい声に朝食であるトーストを食べる手を止めて聞く。
旭は今日もサッカーの朝練のため出ていて部屋にはぼく一人だったのでそのまま通話を続けた。
「大丈夫です。」
『そか。実はな山村の事だが…』
「翔悟がどうかしたんですか!?」
『まてまて、まず聞け。山村はもう昨日のうちに意識を取り戻している。事情聴取を済ませて昨日の夜には自室に戻らせたから、今日から授業にも出て来るだろう。』
「本当ですか?良かった〜。」
『心配してるだろうから一応報告な。』
斎木先輩の温かな人柄が伝わるような優しい声色に胸がじんとした。
「斎木先輩、本当にありがとうございました。」
『だから良いって別に。俺なんてほとんど役にもたててねぇんだから。』
照れたように謙遜する先輩になんだか親しみが沸いてきたような気がして小さく笑みがこぼれる。
実は同い年だし、いい友人になれそうな気がしてくる。
「見た目は少し怖いのに…。いい人ですね、先輩って。」
『はぁ?…ははっ、おもしれぇなお前。つか、一言余計だコラ。』
そう交わして笑い合う。すると
『須崎、お前に折り入って話したい事があるんだ。今日の放課後空いてるか?』
と調子を変えて訊いてきた。

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