蝶々遊び。
○[甘いその香り。](1/40)
 
―――――
――――





思い返すは、あの日。



あの……

……先輩に二度目に会った、入学式の日。




わいわいと騒ぐケバケバしい新入生達の中で、

私はあまりにも普通すぎた。



……普通すぎて、地味すぎた。



色とりどりの頭達に、
初日から見事なまでに着崩されてる制服。


みんながみんなヤンチャそうで、正直私はたまらなく憂鬱だった。



……無理だ。


こんな人達の中で3年間も過ごすなんて……

……絶対耐えられない。




友達なんて出来る期待も持たず、ただただ話し声の絶えない五月蝿すぎる入学式を過ごした。




――その時かな、

“噂の先輩”の“噂”を初めて聞いたのは。





『この学校って、あの“噂”の先輩がいるんだよねっ?』

『そうそう、確か『龍』のトップの人。
3年生らしいよ』

『喧嘩したら負けなしで、しかもカナリの女好きらしいよっ!』

『えーっ、仲良くなりたいなー』




……ふーん。


確か『龍』って、隼人兄の敵対してるチームだよね?


なんでわざわざそんな不良と仲良くなりたいとか思うんだろ……



……さっぱり理解出来ないや。



 

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