君の笑顔と最後の言葉 (
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「佐古ちゃーん!!!」
卒業式まであとわずか。
この時期、3年生はすでに自由登校になっていたが、わたしと咲香は合格の報告をするために学校へ来ていた。
職員室に入って佐古先生を見つけるなり駆け出す咲香。受験のおかげでこれまであまり会うことができなかったからか、今日をかなり楽しみにしていたという。
「ちょっ…バカ、飛びつくな!」
本当に抱きつきそうな勢いだったから、先生は両手を突き出し焦った様子で周りをキョロキョロ窺っている。
「ケチ」
「ふざけんな。場所考えろ」
「ここじゃなかったらいいの?」
「調子乗るなよ?」
そんなことより先に言うことがあるだろ、と佐古先生が眉を寄せる。
わたしと咲香は顔を見合わせると、二人で一緒にピースサインを向けて。
「受験終わりました!!」
「合格しました!!」
「よし。頑張ったな二人とも」
二人同時に頭をわしゃわしゃと撫でられる。
心なしか咲香がわたしに嫉妬しているような気がするが、こればかりはどうしようもないので許してほしい。
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