彼方へ響く
†[魔女の棲む森](1/1)
その森は、魔女の棲む負の領域……
十年ほど前からその森の付近に住む者達にとって、なかば公然と言われていることだった。
猟で森に入った村人が、ある日呆けた物腰で帰ってくるなり、奇妙なことを言った。
「小さな人間が列をなして歩いていた」
「世にも醜い婆さんが、俺を見て笑ったんだ」
その時はあまり深く取り合わなかった村人達も、その後森に入る全ての者が、やはり同じうような目にあったと証言した。
尚且つ(ナオカツ)、歩き慣れた古参の者たちが道を見失い、森に分け入ってから一日二日と戻ってこない異常な事態が相次いだため、その森は段々と人が立ち入ることがなくなっていった。
魔女の森
醜い婆さんという証言が魔女となって、噂だけが大きく膨らんでいく。
その森に入る者は、悪魔を呼ぶ魔女の儀式で、生け贄になってしまうと。
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