to be continued…
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1314809回目の人生は、24歳までは順調だった。
何の問題もなく平穏に毎日を過ごしていた。
でも不幸に好かれた私の人生で、死ぬまで安泰ということは稀なので、そろそろ何かあるかな、と思っていた。
案の定24歳になってすぐ、私は交通事故に遭って、右足を切断した。
残った左足も、ほとんど機能しなかった。
私は車椅子生活を余儀なくされた。
足を切断した直後は死ぬほど痛かった。麻酔が切れた後が地獄だった。
しかも切断面が腐って、その後二回ほど再手術になり、更に痛みを伴った。
傷が治った後も幻肢痛が酷くて、あの人生の思い出は、とにかく痛みが大半だ。
そして足を失った後、私の人生は大きく変わった。
その人生で私は、立ち仕事の技術職に就いていたのだが、当然足を失ったことで解雇され。
当時結婚を考えていた女性も、無職で、しかも障害者は無理、とあっさり私を捨て。
しかも不幸は重なるもので、私の事故の半年後に、父が病気で倒れ、母はその介護に追われた。
職に困り、金に困り、その後私は死ぬまで生活保護人生を送った。
そういうときばかり長生きするもので、その人生では私は80歳近くまで生きた。
一人ぼっちの、孤独死だった。
死んだ後、私は暗闇に帰った。
1596442回目の人生は、生まれることも出来なかった。
いや、厳密には生まれてはいたのだ。母親の腹の中に、発生していた。
けれど、どんな事情があったのか、私は望まれない赤ん坊だったらしく。
12週目くらいのときに、キュレットと呼ばれる冷たい金属具を突っ込まれて、掻き出されて死んだ。
生まれるまでもなく、私は死んだ。暗闇に帰った。
1780096回目の人生は、鬼として生まれた。
何かの比喩ではない。本当に、種族は鬼だった。
その世界では、知能を持つ多種多様な種族が生きていた。
でも、鬼は他種族からは嫌われていた。
なんでもその昔、私達の祖先の一人が、その世界にある禁忌に触れたことがあり。
禁忌に触れた呪いのせいで、他種族を巻き込んで世界を滅ぼしかけたのだとか。
そういった経緯から、鬼は嫌われていた。忌まれ、疎まれ、迫害されていた。
鬼は里から外れた辺境の地で、同種達のみで身を寄せ合うようにして暮らしていた。
迫害されていたといっても、同種間では憎み合うこともなく、むしろ他種族と仲が悪い分、連帯感は全種族の中でもトップクラスに高く。
要するに鬼達は皆仲良し、だったのだ。
細々とした暮らしだが、それなりに安定していた。幸せ、だったのかもしれない。
でも、それは長く続かない。
ある日また、世界に禁忌の呪いが降りかかった。
他種族達は、また鬼の仕業だ、と言った。
けれど今回は、鬼ではなかった。他種族の誰かがやったのだ。
そんな私達の言い分は、誰も信じなかった。
二度も禁忌に触れ、呪いをもたらした鬼など、滅ぼしてしまえ。
誰かがそう言い、その声は広まり…私達は追い立てられ、種族間での血まみれの争いが起きた。
鬼対他種族では多勢に無勢。鬼はあっという間に滅ぼされた。
彼らは言った。鬼は野蛮で悪辣で、残虐な一族だと。
でも、それは真っ赤な嘘だった。
私達は元々平和主義で、争いが嫌いで、穏やかな種族だった。
そんな事実を、誰かに知られることもなく…私は死んだ。暗闇に帰った。
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