正義の殺しは犯罪か?
[ウォーツ・ハイズヴァン戦](1/11)

「遺跡の街ウォーツ・ハイズヴァン」

とはよく言ったもので、この街は石が多い。


アフリカではあるが、妙にヨーロッパらしい雰囲気が漂っている。

一時は世界遺産に登録しようとする動きもあったようだが、気づけばされなくなっていた。


「お兄ちゃん!」


薄明るい朝というか夜中というか、そんな時間に、俺達のもとに来訪者が現れた。


「お、お姉ちゃん、が」


「お姉ちゃん?お姉ちゃんって、俺達のか?」

現れたのは実の姉だ。
少しやつれているようにも見える。

「...しっ。声を落として...あのね。孝明さんが今から来るわ」


「孝明って...神楽岡孝明、だよね」


「そう。だから注意しなさい。
あなた達なら大丈夫だと思うんだけど
じゃあ、今度は日本でね」


「待って、お姉ちゃ...」


それだけ言うと姉は踵を返して帰っていった。


何故ここにいるの?
何故それを俺達に教えるの?

疑問は数々浮かんだが、追いすがっても既に彼女はバイクでいってしまっていた。


「次は日本で...だってね。絶対に生きて帰らなきゃね」

「うん」


生きて...それが今の俺にとってどれだけ尊いことか。



ーーしかし次に姉と出会うのは日本ではなく、全く予想だにしない形でのものとなる。



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