そんなメイドは蟻原さんである
[05 オニザメインジャード](1/1)
これから話すのは、全部鬼鮫先生から聞いた話。
すなわち回想、いや、空想と言ってもいいのだけれど。

鬼鮫先生が夏休みの後半もいいところ、20日前後と思ってくれていい、そんなころに一人の男とすれ違ったという。
男の髪の毛はギンギンで、ベジータを彷彿させる出来だった。
頬に十字の傷があって、暴走族のようなジャンパーを着ている。
そんな男だ。

そんな男がタバコを吸って歩いていた。
世の中分煙が叫ばれているわけだけれど、その男が吸い放浪していた場所は路上禁煙のゾーン。
もちろん生徒指導の鬼鮫先生、今更ながらにフルネームを述べるなら鬼鮫百合先生が黙っているはずもなかった。
そのいつも持ち歩いている、持ち合わせている竹刀........
いや待て!今思ったがこの人私生活でも竹刀持ち歩いているのか!?
威嚇しすぎだろう!なにを普通みたいな顔でそんな大変なことを俺に告げていたのかあの人は!
.......取り乱してすまない。
とりあえず竹刀を突きつけ、注意したという。
まるで生徒を扱うのと同じように。
恐怖全開で。

すると男は笑った。
ニヤリと不敵た笑みを浮かべた。
そして男も、竹刀を取り出した。
「問答無用。俺のルールだ。納得しろ。」
そう言って男は竹刀を振った。
先生曰く少しは善戦したらしいのだけれど、先生の竹刀が叩き落とされ、次の瞬間の攻撃を反射的に腕で受けたのだという。

激痛だったそうだ。
まるで本当に切られたような。
その後から、鬼鮫先生はあの傷を腕に背負ってしまったそうだ。




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