こぴぺ。

☆蟹 缶(1/8)



まあ聞いてくれ。
俺は霊感とかそういうのは持ち合わせちゃいない。
だけど恐怖と言う意味では、幽霊なんぞよりもよっぽど恐ろしいモンがある。

昔、小さい印刷会社みたいなとこで働いてた。
ホントに酷い会社で、筋モンの作る偽物の株券とか、政治団体の中傷ビラとか、法律にひっかかる様なことをフツーにしてた。

でも悪い事ばっかじゃないのもあった。
小学生の女の子が親と一緒に来た。
猫を探すために持って来た手書きで書いた紙。
コレをたくさん印刷して欲しいって。
ぶっちゃけ個人の依頼なんざ受けてないし、「コンビニでコピーした方がよっぽど安上がりだ」とわざわざ上司が教えてあげてたんだが、「貯めたお年玉全部出すから」ってきかねえんだよ、そのがきんちょ。
馬鹿だよな、こんな怪しい会社に要りもしないビラ代取られるのなんて。

でも、多分、あんときは皆一丸となったね。
この子を助けてあげようっていう何だか分からん義務感。
色々手直しして、それは立派なビラを大量に刷ってやった。
猫の写真とか借りて、手書きじゃなくてカラーに写真入印刷した。

で、納入日。
上司がその親子に頭下げんだよ。
ビビッタね。
モンモンにも絶対に引かない鬼みたいな上司だったから。
最初、何で頭下げんのか、馬鹿な俺は分かんなかった。
でも他のみんなは気付いてたと思う。


「誠に申し訳ありません。プロとしてやってはいけないことをしてしまいました。原本を無くしてしまいました」


だとさ。
何言ってんだこの人、とか思ったよ。
でもその後に出た言葉が痺れたね。


「お詫びと言っては何ですが、代わりを用意しました。もちろん御代は結構です。契約不履行ですのでペナルティーとしてビラの配布も手伝います」


もちろん無くしてなんかないし、むしろ、作業室の壁際にずっと貼ってあった。
コイツなら掘られてもいいやってマジ思ったね。
ま、そん時仕事なくて、ヒマしてたってのも大きいんだがな。

ん? 猫ちゃん見つかったよ。
ちょっと離れたところにあるアパートで婆さんに餌付けされてた。
ビラのおかげか、婆さんが連絡くれたんだってよ。

まあ、そんな感じの倒産寸前のアホだらけの会社だったんだよ。
ゴメンな話逸れちまった。





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