burst
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01
『寒ッーー』
洗濯物のカゴを抱えてベランダに出てーー思わず声が出た。
12月の朝7時。
外はまだほんの少し薄暗い。
脱水が終わったばかりの洗濯物はハンガーにかけて干すとほんのり湯気を纏ってる。
凍える指で最後の1枚ーー黒のポロシャツをハンガーにかけて、逃げるように家の中に戻った。
毎日の家事ももう慣れたもの。
キッチンに向かうと使用済みの皿が数枚。
水につけて置かれてる。
やっと、水につける癖をつけてくれた。
何度も何度も言い続けてやっと。
『乾くと汚れがほんと落ちないの。』
文句を言う私に、
「落ちなきゃ捨てとけ。」
なんて返すとこがらしい。っちゃらしい。
皿洗いを終えてテーブルを拭く。
本当はこの時間に掃除機かけてしまいたいんだけどな。
寝てるのを起こしてしまいそうでそうもいかない。
この時間の私の行動は大体同じ。
毎日同じことを繰り返してる。
同じことの繰り返しーーそれを幸せと感じるのは私が色々と落ち着いたからだろう。
平凡で安定したこの生活に私は満足している。
左手の薬指に光る指輪にそっと触れてみる。
今日は煮込みハンバーグにしてあげようかな。
こないだ作った時美味しそうにしてた。
最近、ほんと少しづつ。
まだまだなんだけどホント少しづつ。
何考えてるかが分かってきたようなそうじゃないような。
12時頃に買い物に行ってご飯の準備をする。
付け合せ、何にしようかな。
こうやってのんびりと献立を考えて、丁寧に料理をするのは楽しい。
テレビを見ながら作り始めてーー諸々出来上がったのは13時を少し過ぎてから。
そろそろいいかな。
今日は早めに起こして。って言ってた。
いつもより早く仕事に出るからって。
寝室に向かうと遮光カーテンのお陰で真っ暗な空間。
ベッドの隅に立って、寝起きの悪い旦那様の肩を揺らす。
『ーーケイ?起きて?』
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