LAST THREAD OF SPIDER
[□A3□](1/1)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





鏡。



長期保存が効く食料少々。



果物ナイフ一本。



500mlペットボトルの水2本。



ガスマスク。



メイク道具一式などなど……






大体の荷物チェックは無事に終わり

自分の情報になる物は結局見つからず

溜め息を一つおとした私は

指をロープに絡め

両手に力を入れて

上へ上へと登り始めた。



この私を試さんばかりの世界感に

多少の苛つきを感じつつも

流れゆくままに素直に登る。


まぁ

流れに乗ってあげてるって言った方が正しいかしら。





「登山の経験があるor特殊部隊の経験があるってとこ?」





あっさり登っていける自分に

僅かな笑みと小さな怖さが表情に自然とあらわれていた。


しなやかなこの腕の筋肉

こうやって無駄に息をせず

心拍数を過剰に上げないこの能力は

疲れない為の計算だとしても

あまりに出来過ぎてる。


まるで

このロープを登る為に鍛えた体みたい……



自分の大部分の記憶が欠如してる以上

これから予想外のことばかりだろうけど。







「とにかく……登れって事ね。」









1メートル……


2メートル……と


天にある1ミリ程の光を目指して


距離を縮めながら


手際よく


着実に登っていた


その時だった。





ドクッ……




ドクッ……




ドクッ……




ドクッ……






自分の瞳が固まって動かなくなっている事に気付く。


無心になって全身がアンテナを張り巡らせる様に

緊張感を漂わせている体。






「嫌な予感が……する。」







ギギ……




ギギッ……




ギ…………






静かなこの空間に


ロープから


この両手に


不自然に伝わる


微々たる振動……






「なるほど……ね……」







私一人じゃ


ないって訳?






- 8 -

前n[*][#]次n
/13 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]