LAST THREAD OF SPIDER
[■B2■](1/1)
何故


何故繰り返すのか……


その意味は?




夢と現実の境目とは何なのか……


私は

解離性同一性障害という病気を真っ先に疑ったが

それとはまるで違う条件や事実が重なる度に

自分に起きている世界の違いを見出してきた。



自由に

ランダムに夢を見るなら納得できる。

でも

それはなぜか一定のリズムで起きる現象だという事。



それは


それはとても気持ち悪い……


気持ち悪過ぎる夢……





松田「今日はホントごめん。そんなに体調が悪いなんて思ってなかったから。今度また予約するよ。」





自宅まで車で送ってくれた彼は残念そうにそう呟いた。

時計の針は午後10時をまわり

予定をしていたホテルはキャンセルされ

楽しみにしていた彼とのデートも終わりを迎えた。





「ごめんなさい……





些細な1日も

重要な1日だと感じるには

若さ故にまだ程遠く


幼い頃から内向的だが

それゆえ

今の人生を楽しむ事しか考えていない私にとって

『それ』はただ邪魔にしか思えなかった。




彼の車が私の背後を静かに通り過ぎ

夜空の下

カバンから自宅の鍵を取り出して

いつものサイクルで玄関を開ける。


足を踏み入れた真っ暗な玄関には

私の心の様に静けさが漂い

壁際の小さな灯りのスイッチを押すと

靴箱の鏡が疲れ切った私の姿を映した。





「はぁ……。また……また邪魔をしてる。」




やめて……なんて言葉は言い尽くした。

どう足掻いても

無駄だから

無駄だからもう言わない。


あの夢の真相を追い詰めれば追い詰めるほど

自分の人生が狂いそうで

怖かったから。





「今夜は寒い……





温暖化が進み

11月でも暖かかった今までの日常は

12月に入り急に変化をみせる。


OLという室内の仕事に

寒さは関係ないと言う人もいるかもしれない。


でも

日々エアコンの効いた室内にいれば

体がうまく体温調節のできない体にしてしまう。


きっとそれは

この私に起きている現象にも似ているのかもしれない。




そんな事を

ダラダラと考えながら

時間は流れる様に過ぎて

洗面所でお風呂に入る準備をする私。





「顔は同じ……。でも髪型や性格は違う。」




あの夢で見た鏡の姿。

彼女は綺麗な黒髪ロングで

私の髪は肩まで伸びたダークブラウン色の髪。





「彼女はいつも冷静……。でも、私は違う。」





今も


この両手に残っている感触……





あの


ロープの


感触……



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