砂を吐くほどに甘く
[episode4](1/27)
その後、お風呂を借りた私ははるのブカブカの服を身につけながら髪を乾かして貰っている。


お風呂場まで行くだけなのに、わざわざ横抱きで運ばれた時はさすがに驚いた。


けれど何処か楽しそうなはるを拒否なんて出来ず、結局髪まで乾かしてもらう始末だ。



本当に子供に戻ったようで、何だか恥ずかしい。



ドライヤーの温風が心地よくて、はるの大きな手も安心する。気を抜いたら寝てしまいそうだ。




「そういえば、リアって野球かなんかやってたの?コイン、凄い命中してたね」




眠らないように、今日のリアについての話を振る。かなり距離があったのに、投げたコインがしっかりと眉間に命中していたことを思い出す。


あの命中率は、かなり凄いと思うのだけれど。




「ハハッ、あいつが野球か」




はるは、一瞬動きを止めた後リアの野球をしてる姿を想像したのか笑い始めた。


何がはるのツボにハマったのかわからないが、クククと肩を震わせて笑っているのが何となく分かる。




「野球じゃないの?」



「まあな。野球なんて、ンな正統派なもんじゃねえよ」



「それってどういう



「拳銃だよ、拳銃。あいつ、向こうあー、アメリカいた頃はかなりやることやってたからな。拳銃の扱いはまあ上手かった」




普段、普通に生きててそうそう口に出すことのないような単語が聞こえてきて、思わず耳を疑ってしまう。


け、拳銃って


ドラマで観たことがあるような、銃撃戦の描写が頭に浮かんでくる。


拳銃を所持することが出来るアメリカでは、そう珍しいことではないのかもしれない。


だけど、あのリアが




「あ、言っとくけど、一応人としての一線を超えるようなことはまだしてねえから」



「そ、そっか。その、なんか、みんないろんな一面があるんだね




一応、とまだ、という単語が気になったが、もう気にしたら負けだ。聞かなかったことにしよう。




「リアは普段があんなんだからな。この勢いで言っちまえば、柚亜も相当なんだが」



柚亜さんが


どういうことなんだろう。確かに、はるはずっと柚亜さんのことを腹黒みたいに言っていた記憶がある。


温厚な雰囲気の柚亜さんが、どんな裏の顔があるのか。


知りたいような、知りたくないような。









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