亡星のガント 第2章ダリオ航空部隊(1/9)


「まさか国内に帝国の軍勢が忍び込んでいるとはな」


会議室にて。
ワイオレン、ロマルドにシャンテは報告する。


「しかも、いたのはあのカミラ・ヴァルニエ。帝国は本格的に動き始めています」

「ふむ…」


ワイオレンは考え込んだ後、口を開く。


「後に緊急の軍国会議を開くが、バルバード少尉には先に言っておこう」


ワイオレンは指を組ませて告げる。


「実はこの国の精霊箱が盗まれた」

「え!?」


シャンテは驚くが、デュンベルンはそれがどういうことか知らない、


「それってどういうことなんだ…?」

「精霊箱…精霊はあまりに強大な力を持っているため、帝国に居場所を知られないよう精霊箱の中に精霊を封印してたの。
私たちの真意に応えてくれた精霊はその精霊箱の中に居住空間を作り、そこを自らの居場所としているわ。その精霊箱が盗まれたということはつまり…」

「つまり…?」

「この国で保護していた精霊が帝国に渡ったという事よ」

「な、なんだって…!?」


デュンベルンは立ち上がる。


「早くその精霊箱とやらを取り戻さねえと!!」

「焦らないでデュンベルン。闇雲に動いてもいいことがないわ」

「でも…!!」


いてもたってもいられないデュンベルン。
その様子をみていたワイオレンは口を開く。


「どうだねデュンベルン、我が軍に入隊する気はないか?」

「ちょ…わ、ワイオレン長官!?まだ、デュンベルンは…」

「精霊箱は帝国に渡ってしまった。これを取り戻すにはデュンベルン、君の力が必要だ」

「…」


何ともわざとらしい口調。
そんなにもデュンベルンという珍獣を敵に見せつけたいか。
シャンテは半ば呆れかえっていた。


「デュンベルン、よく考えるのよ」

「バルバード少尉、これは君が決めることではない。彼が決めることだ」

「デュンベルン…」


シャンテは心配そうな顔。


「…」


デュンベルンは少し考える。
ただ、それはやるか、やらないかではない。
どうすれば、シャンテにとっていい方向であるか考えていた。


「やるよ。この星に不時着している以上、この星のためになるなら働かせてもらう」

「デュンベルン…ほんとにいいの?」

「どうせやることはないんだ。少しでも力になれるならやるよ。シャンテにも恩義があるからな」

「あなた…」


この男は口も悪いし、常識も知らない。
だが、シャンテはこの一日で分かった。
この男は正義に満ち溢れた男だ。


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