.記憶の街 (1/1)
庭の花壇がさびしくなってどのくらい経ったのだろう
いつから庭を見なくなっただろう
庭はほこりをかぶったジャングルと化した
それに気付かない僕は机に向かう
理由は特にないが花の種を買って来た
雑草を抜くと そこは置いて行かれた記憶の街があった
乾いた地面を掘ってみる
大きな石が邪魔をする
僕はいらだち その石を投げ捨てた
次から次へと石が顔を出す
僕はただ石を投げ捨てる
ここは記憶の街
忘れられ雨に打たれ
やがて固くなり沈んでいった
昨日の僕の死体を
僕は投げ捨てていた
スコップを持った僕は固い土を堀り続ける
そのうちこの愚かな人間もただの石に変わり果てるのだろう。
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