兵士はどこにいる?
★[4.行方不明](1/9)
台風は夜の間に通過した。翌朝、雲一つない快晴だった。昨日の暴風雨はうそのようだった。
生徒たちが登校してくると、教員たちが騒がしくしていた。そして誰かが言った。
「裏山で土砂崩れがあったらしい。」
始まりはこの一言だった。
裏山を見に行く生徒たち、それを止める教員たち。
幸成が登校してくると、既に裏山での出来事は広まって、グラウンドの方に生徒たちが集まっていた。
教室にくると、ほとんどの生徒が野次馬をしていた。残っている生徒は数人だ。
智樹も野次馬をしに行くところだった。
「ユキ、おはよう。聞いたか?裏山で土砂崩れだってさ。あの裏山がだぜ?見に行かないか?」
「智樹、やめた方がいい。どうせ見に行っても人が多くてまともに見えないさ。ここは中学校も併設されているんだから、野次馬の数はすごいことになってるぞ。」
「ん?ユキ、興味ないの?」
「まったく。てか、人混み、嫌い。」
幸成はかばんを置いて席に座った。智樹は幸成の前の席に座った。
「そういえば、香知らないか?」
「え?香?今日はまだ見てないけど、どうかしたのか?」
「うーん。昨日、香から変なメッセが来たろ?あの後こっちからもメッセ送ってるけど、いくら送っても返事なくて、朝電話したけど繋がらなくてさ。」
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