僕と、遊んでくれる?
◇[本心と決裂](1/6)
【日下 瑞希 side】
目の前にいるのが、
あの香名子だとはとても信じられなかった。
震える手がコーヒーカップにあたって残りのコーヒーがテーブルに広がった。
「今ここにいたのはね、結城くんだよ」
香名子はコーヒーカップをおき直してなんでもない風に言った。
「…香名子…なんで?」
自分の声と思えないほど弱々しい声が唇の端からもれた。
「…なんでって、やりたかったから?」
香名子…――?
「結城の側にいたかったの…例え瑞希を利用してでもね」
なに言ってるの――?
私はフラフラとする足で立ち上がった。
「ずっと…騙してたの?」
香名子は下を向いたまま何も言わない。
「出ようか、瑞希」
香名子の言葉に辺りを見渡すと、店の客がこちらを見ていた。
「他人に聞かれるような話じゃ無いでしょ?」
- 97 -
前n[*]|[#]次n
⇒栞
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[←]