僕はヤンデレを呼ぶ
[sengu-ji](1/3)
学校を出て帰り道、登校に使った道を歩いていると十字路に出た。登校時は何気なく通っていたがもしかするとここを左に曲がった方が家への近道になるかもしれない、地元なだけに土地勘がはたらいた。
(別に急いでるわけじゃないし少し寄り道して帰ろう。)
そうして僕は左に曲がり自分の土地勘頼りに歩いていた。しばらく歩いていると大きな建物を見つけた。まるで西洋のお屋敷だ、あまりの迫力に見入ってしまう。
(へぇ、この街にこんな大きな建物あったんだ。でもこんな目立つ建物があること地元に住んでる僕が気づかないなんて…。)
すると建物の表札にまだ傷つけ防止用のフィルムが貼ってあったのを見て新居だということが分かった。
(なるほど、どっかのお金持ちが引っ越してきたのかな。そういえば前に愛が『お屋敷が建つみたいですよ。』とか言ってたような気がする。)
そのままお屋敷を通り過ぎようとする時、ふと頭に浮かぶ人物がいた。そしてその人物のものであろう声が聞こえた。
「父上はなにもわかってない!!!」
脳内で想像していた人物の声が現実に聞こえ少し混乱した。通り過ぎようとしていたお屋敷から金髪縦ロールの背の低い女の子が飛び出してそのまま走り去っていく。
「お嬢様!!お待ちください!!!」
「馬鹿野郎!!何やってんだ!お嬢様に何かあったら大変だぞ!」
「全員すぐに探せ!!」
少女の後からお屋敷から黒服の男が数人真っ青な顔で出てきた。黒服の男は散り散りに走って行った。
(なんだなんだ!?)
頭が事態についていってない中、フィルムが貼られた表札に再び目がいった。
「……千宮司。」
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