「奇妙な力だなァ…」 お前何者だ、と。 冷たい声が部屋に響く。 ああこの声色は、 疑いと、敵意? 怖いなと思った。 この人には信じてほしいのだ、 説明しようのない感情。 「如月瑠衣、それが私の名です。彼女は柳梨亜」 「如月瑠衣、柳梨亜…か、…藩は」 「出身は江戸です」 すらすらと言葉が出てきて自分でも驚いた。 これなら隠せるかと思ったその時、 「いいえ、東京じゃ…、」 梨亜がはっとしたように口をふさぐが遅い。怪訝そうに眉間に皺を寄せた土方さん。 「とうきょう?そんな地名知らねーな、だいたい梨亜とか言ったかその着物はなんだ?異人か」 やばいやばいやばいよ土方さんちょっと! 梨亜は上から物を言われるのが嫌いだ、 またかっとなっている。 「さっきから異人異人五月蠅いですわよ。私は日本人だわ」 あーあー…もう台無しじゃん。 責任とってよお嬢…! 「梨亜さん、ここは平成じゃありませんから……」 宥めるが遅い。 しまった。 死を覚悟した方が賢い? 前n[*]|[#]次n |