『サイモン・バーチ』
◎はじまり(1/6)
1
翌日の早朝ー。
カナ「おっはよーアリサ。」
アリサ「あ、カナおはよ。」
カナ「ねぇ、昨日の気になるよね?ほら、八代木コウの話。」
アリサ「うん、気になるけど…」
カナ「え、何?浮かない顔して、珍しいね。」
アリサ「…んー、何でもないよ。大丈夫。」
ー。
カナ「え、何あれ…」
学校の校門にできた人だかり。その先には一台の救急車とパトカーが止まっていた。
人混みをかき分けて前に出たカナとアリサが目にしたのは、ストレッチャーに乗せられた楠木ミシナの姿だった。
彼は頭から多量の血を流し、意識はないようだ。左腕もおかしな方向に曲がっている。
カナ「え、ミシナ…くん?…なんで?」
アリサがその辺の男子の胸ぐらを掴んで言った。
カナ「ちょっと!何よこれ、何があったのよ!?」
男子生徒「し、知らないよ…ただ、屋上から落ちたってのは聞いたけど…」
アリサ「屋上!?」
カナはパトカーの側で警察官と話すシンの姿を見つけた。
カナ「…シン君…?」
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