貧乏勇者サクセスト
[『アント・オブ・ラビリンス Lv20』](3/3)

そう言って、エスティは閃光魔法の呪文をエーイチに教えた。次に、彼の肩に触れる。

「初めて魔法を使用する儀式、魔法解禁にはいくつかの方法がありますが、これが最も安全です。

今からわたくしがエーイチに魔力を貸します。さきほど教えた呪文を唱えてみてください」

エスティの手は火のように熱かった。エーイチは不思議な感覚を覚えながら、閃光魔法を唱える。

「おわあ……」

すると、エーイチの手からひと粒、ふた粒、と小さな光球が浮かんだ。

「お、オラにも出来た!」

「ええ。これはわたくしの魔力を引き金として浮かんだもの。現状はわたくしの手伝いによるものですが、

以降は自分の魔力で唱え、放出できるでしょう。魔力はいろいろと複雑ですが、真っ先に欲求≠消費します、

身の丈に合っていない中級魔法や、低級でも使い過ぎると疲労感に襲われ、急激な眠気や飢餓感などに襲われるので注意するのですわ」

「わかった。なあ、オラの光、青いぞ。青は何なんだ」

「青も陽属性。性格は純潔、自由などを表していますわ……まあ、子どもって感じですわ」

「なんだよ、それ」

エスティが進むと、周囲の金色の光球もエスティを守るように付き従って進んだ。

「魔法の扱いに慣れてくると、消えるまでこうやって好きなように動かすことが出来ます」

エーイチが「うーん」と念じると、5粒ほどの青い光球も、そのささやかな光でエーイチの足下を照らしながら、ころころとエーイチの周囲を転がっては付いてきた。



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モドル|マエヘ
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